オンプレミスのファイルサーバーからS3への継続的バックアップ
建設会社の情報システム部門が、社内 NAS に蓄積された図面ファイルや現場写真を Amazon S3 にバックアップしたいと考えています。要件として、(1) 既存のオンプレミスアプリケーションは今後も NFS でマウントした共有に対して読み書きを続けられること、(2) 書き込まれたファイルが自動的かつ非同期に S3 オブジェクトとしてアップロードされること、(3) 直近アクセスしたファイルはオンプレミス側のキャッシュから低レイテンシーで読み出せること、が挙げられています。この要件を満たす最も適切な方法を 1 つ選択してください。
解説を読む(正解: A)
オンプレミスと AWS をまたぐハイブリッドストレージでは、既存アプリケーションのファイルアクセス方式を変えずにクラウドへデータを寄せられるかどうかが選定の要になります。AWS Storage Gateway の Amazon S3 File Gateway は、オンプレミスに仮想アプライアンスとして配置され、NFS または SMB のファイル共有を提供します。この共有に書き込まれたファイルは自動的かつ非同期に S3 オブジェクトとして格納され、S3 側では通常のオブジェクトとしてライフサイクルポリシーやレプリケーションを適用できます。さらにゲートウェイはローカルディスクをキャッシュとして使うため、最近アクセスしたファイルは低レイテンシーで読み出せます。したがって 3 つの要件をすべて満たす A が正解です。B の AWS DataSync は大量ファイルを高速に転送する優れたサービスですが、あくまでスケジュールまたは手動で実行する転送タスクであり、ファイル共有として常時マウントし続ける仕組みやローカルキャッシュを提供しないため、要件 (1) と (3) を満たせません。C の Amazon EBS スナップショットは AWS 上の EBS ボリュームを対象とする機能で、オンプレミスの仮想ディスクを直接スナップショットすることはできず、そもそもファイル単位のバックアップ手段ではありません。D の S3 バージョニングとライフサイクルポリシーは、すでに S3 に格納済みのオブジェクトの世代管理とストレージクラス移行を行う機能であり、オンプレミスのファイルを S3 へ運ぶ手段にはなりません。
テープバックアップのクラウド移行とアーカイブ階層
300 床規模の総合病院を運営する医療法人が、電子カルテと画像診断システムのバックアップを院内のバックアップソフトウェアから LTO テープへ書き出し、月に一度外部倉庫へ搬送して 7 年間保管しています。テープドライブの保守費と搬送費が重荷になっており、保管先を AWS に移したいと考えています。既存のバックアップソフトウェアはそのまま使い続けたく、復元要求は年に数回程度で、データの取り出しに半日程度かかっても診療業務に支障はありません。最もコスト効率の高い構成はどれですか。
解説を読む(正解: B)
AWS Storage Gateway の Tape Gateway は、オンプレミスの仮想マシンやハードウェアアプライアンスとして稼働し、既存のバックアップソフトウェアに対して iSCSI 経由の仮想テープライブラリ (VTL) として見えるサービスです。バックアップソフトウェアから見れば従来どおりテープに書き出しているだけなので、バックアップジョブの定義や運用手順を作り替える必要がありません。書き込まれた仮想テープはアーカイブすると S3 Glacier Flexible Retrieval または S3 Glacier Deep Archive に格納され、特に Deep Archive は AWS のストレージの中でも最安クラスの単価で、取り出しに数時間から半日程度を要する代わりに 7 年といった長期保管の総コストを大幅に下げられます。物理テープの購入・搬送・外部倉庫保管も不要になり、年に数回の復元で半日待てるという要件とも一致するため B が最適です。A の DataSync はファイル単位の転送サービスとしては有効ですが、バックアップソフトウェアのテープ運用をそのまま置き換えるものではなく、しかも S3 Standard は 7 年間保管し続ける用途には単価が高すぎます。C の Volume Gateway はブロックボリュームを提供するもので、EBS スナップショットとして保持するとアーカイブ階層より大幅に高い単価が継続的にかかり、長期保管のコスト最適化にはなりません。D は毎月 Snowball Edge を手配する運用負荷とデバイス利用料が継続的に発生し、常時稼働のバックアップ運用には適しません。加えて S3 One Zone-IA は単一 AZ にしかデータを持たず、7 年間の法定保管に必要な冗長性と長期コスト効率の双方でアーカイブクラスに劣ります。
データ全量をオンプレミスに保持したまま S3 へバックアップする構成
ある精密機器メーカーの設計部門では、CAD 図面と測定データを工場内の iSCSI ストレージに保存しており、設計アプリケーションはデータセット全量に対して常に低レイテンシーでアクセスできることを前提に動作しています。そのため、一部のデータだけをローカルに保持してキャッシュミス時に広域回線越しに取得するような構成は許容できません。一方で現在は磁気テープを外部倉庫へ運搬して保管しており、復旧に日数を要することが課題となっているため、バックアップだけを AWS 側に置き、ポイントインタイムのスナップショットとして保管したいと考えています。この要件を満たす構成はどれですか。
解説を読む(正解: C)
AWS Storage Gateway は、オンプレミスのアプリケーションから見ると従来どおりのストレージプロトコルで見えながら、背後で AWS のストレージへデータを連携させるハイブリッドストレージサービスです。ボリュームゲートウェイは iSCSI のブロックボリュームを提供し、2 つのモードを選べます。保管型ボリューム (Stored Volumes) は、データセットの全量をオンプレミスのディスクに保持したうえで、変更分を非同期に AWS へ転送し、Amazon EBS スナップショットとしてポイントインタイムのバックアップを作成します。全データがローカルにあるため常に低レイテンシーでアクセスでき、かつテープ運搬に頼らないオフサイトバックアップが実現できるため、今回の要件に合致するのは選択肢 C です。選択肢 B のキャッシュ型ボリューム (Cached Volumes) は、プライマリデータを AWS 側に置き、頻繁にアクセスされるデータだけをローカルにキャッシュする方式です。ローカル容量の節約には有効ですが、キャッシュに存在しないデータへのアクセスは広域回線越しの取得となるため、全量への低レイテンシーアクセスという前提を満たせません。選択肢 A のテープゲートウェイは、バックアップソフトウェアから仮想テープデバイスとして見える構成で、物理テープの置き換えには有効ですが、設計アプリケーションが日常的に読み書きするプライマリのブロックボリュームを提供するものではありません。選択肢 D の Amazon FSx ファイルゲートウェイは SMB ファイル共有への低レイテンシーアクセスを提供する仕組みで、プライマリデータは AWS 側の Amazon FSx にあり、ブロックストレージでもないため今回の構成には適合しません。