第 8 章 Azure のコンピューティングリソースをデプロイおよび管理する(20〜25%)

仮想マシン

この章で学ぶこと

  • 仮想マシンの作成
  • Azure 仮想マシンのホストでの暗号化を構成する
  • 仮想マシンを別のリソース グループ、サブスクリプション、またはリージョンに移動する
  • 仮想マシンのサイズを管理する
  • 仮想マシン ディスクを管理する

この章に出てくる用語

Azure Virtual Machines
Azure 上で動く仮想のサーバー。 OS を自分で選び、中に何を入れるかも自分で決める(IaaS)。その代わり、OS の更新もミドルウェアの管理も自分の責任になる。1 台の VM は、計算リソース(サイズ)・ディスク・ネットワークインターフェイスという別々のリソースの組み合わせでできている点が、物理サーバーとの一番の違い。
マネージドディスク
VM に接続する仮想のハードディスク。 実体はストレージ上に置かれるが、置き場所やレプリケーションは Azure が面倒を見るので、利用者は「種類」と「容量」を選ぶだけでよい。OS を入れる OS ディスク、データを置く データディスク、そして VM を止めると消える 一時ディスクの 3 種類の役割がある。
可用性セットとスケールセット
可用性セットは、同じリージョンの中で VM を物理的に散らして置くための「入れ物」。台数を増やす機能は無く、置き方を指定するだけ。Virtual Machine Scale Sets(VMSS)は、同じ構成の VM をまとめて扱い、負荷に応じて台数を自動で増減できる仕組み。どちらも単体の VM より高い SLA を得るために使う。

マネージドディスクは 5 種類ある。性能順に並ぶが、上位 2 つは OS ディスクに使えないという制約が最初の分かれ目になる。

図 8-1 ディスクの性能と OS ディスクへの可否
図 8-1 ディスクの性能と OS ディスクへの可否
UltraPremium SSD v2Premium SSDStandard SSDStandard HDD
最大 IOPS400,00080,00020,0006,0002,000(拡張 3,000)
最大スループット10,000 MB/s2,000 MB/s900 MB/s750 MB/s500 MB/s
OS ディスク××○○○(2028-09-08 廃止予定)
可用性セット×—○○○

試験では

Ultra Disk の制約は 3 つまとめて覚える。OS ディスクに使えない、可用性セットで使えない、ディスクキャッシュも使えない。「最高性能が必要」という問題文でも、これらの条件が付いていたら Ultra は選べない。

試験では

Premium SSD v2 も OS ディスクに使えず、ホストキャッシュもサポートされない。「容量・IOPS・スループットを個別に設定したい」という要件なら v2 だが、OS ディスクの話なら Premium SSD(無印)になる。

補足

Standard HDD は OS ディスクとしての利用が 2028 年 9 月 8 日に廃止される予定だ。新規に設計するなら OS ディスクは Standard SSD 以上にしておく。

VM のサイズ変更は再起動を伴う。さらに、今その VM が載っているハードウェアクラスターに目的のサイズが無い場合は、いったん割り当て解除(deallocate)してから変更する必要がある。

試験では

停止には 2 種類ある。ポータルの[停止]や az vm deallocate は割り当て解除で、コンピューティングの課金が止まる。OS の中からシャットダウンしただけ(az vm stop も同様)では割り当てが残り、課金が続く。「停止したのに課金されている」の原因はこれ。

# VM を作る (PowerShell: New-AzVM)
az vm create -g rg -n vm1 --image Ubuntu2204 \
  --size Standard_D2s_v5 --zone 1
# サイズを変える(再起動を伴う)
az vm resize -g rg -n vm1 \
  --size Standard_D4s_v5
# 割り当て解除。課金が止まる (PowerShell: Stop-AzVM)
az vm deallocate -g rg -n vm1

VM まわりの暗号化には似た名前のものが 2 つあり、守る範囲が違う。

図 8-2 ホストでの暗号化と Azure Disk Encryption
図 8-2 ホストでの暗号化と Azure Disk Encryption

試験では

ホストでの暗号化は一時ディスクとキャッシュも守る。Azure Disk Encryption(ゲスト OS 内の BitLocker / DM-Crypt)は一時ディスクを守らない。「一時ディスクを含めてエンドツーエンドで暗号化したい」→ ホストでの暗号化。

単体の VM には高い SLA が付かない。複数台に分散させることで可用性を上げる。方法は 3 つあり、ゾーンをまたげるかと自動で増やせるかで分かれる。

障害ドメインと更新ドメイン

可用性セットを理解するには、この 2 つの語の違いを押さえる必要がある。

図 8-3 障害ドメインと更新ドメイン
図 8-3 障害ドメインと更新ドメイン

試験では

障害ドメイン=予定外の障害、更新ドメイン=予定されたメンテナンス。障害ドメインは電源やネットワークスイッチを共有するまとまりで、ラックごと落ちる事態に備える。更新ドメインは計画メンテナンスでまとめて再起動される単位で、順番に更新される。

3 つの選択肢の比較

図 8-4 可用性セットと 2 つの VMSS モード
図 8-4 可用性セットと 2 つの VMSS モード
可用性セットVMSS フレキシブルVMSS 均一
最大インスタンス数2001,0001,000
可用性ゾーン使えない使える使える
自動スケール×○○
更新ドメイン最大 20なし(障害ドメイン単位)最大 5
Azure Backup / Site Recovery○○×
OS・SKU の混在OS のみ可できるできない
SLA99.95%FD 分散 99.95% / ゾーン分散 99.99%同左

試験では

可用性セットは可用性ゾーンをまたげない。「データセンター全体の障害に備えたい」なら可用性セットでは足りず、可用性ゾーンへの分散(SLA 99.99%)が必要になる。

試験では

VMSS 均一は Azure Backup と Azure Site Recovery に対応していない。「スケールセットをバックアップしたい」と書かれていたらフレキシブルを選ぶ。

試験では

オーケストレーションモードは作成時に決まり、あとから変更できない。「後で変えればいい」という選択肢は誤り。迷ったら推奨されるフレキシブルで作る。

補足

フレキシブルには更新ドメインの概念が無く、メンテナンスは障害ドメイン単位で行われる。また、既定の送信インターネット接続が無いため、送信が必要なら NAT ゲートウェイやロードバランサーの送信規則を明示的に構成する。

CPU 使用率などのメトリック、またはスケジュールに基づいてインスタンス数を増減させる。スケールセットの機能であり、可用性セットでは使えない。

図 8-5 自動スケールとクールダウン
図 8-5 自動スケールとクールダウン

試験では

「スケールアウトとスケールインが短時間に繰り返されて落ち着かない」→ クールダウンを長くする。既定は 5 分。しきい値をいじる選択肢に飛びつかないこと。この現象をフラッピングと呼ぶ。

縮めるときにどのインスタンスから消すかはスケールインポリシーで決める。既定(バランスを保つ)、NewestVM(新しいものから)、OldestVM(古いものから)の 3 つ。

VM を作ったあとに、構成の適用やソフトウェアの導入を自動で行う小さなアプリケーションだ。

拡張機能することこう聞かれたら
カスタムスクリプト拡張機能スクリプトをダウンロードして実行する作成後にアプリを自動インストールしたい
DSC 拡張機能PowerShell DSC で望ましい構成を適用する構成を宣言的に保ちたい

試験では

拡張機能には VM エージェントが必要。 エージェントが入っていない、または停止している VM では拡張機能が動かない。ARM テンプレートでは仮想マシンの子リソース(extensions)として書く。

補足

カスタムスクリプト拡張機能のスクリプトは、ストレージアカウントや公開 URL から取得する。ストレージに置く場合、ファイアウォールで VM から到達できることを確認する(第 4 章)。

VM は別のリソースグループやサブスクリプションへ移動できる。ただし第 3 章で見たとおり、移動してもリージョンは変わらない。

試験では

別リージョンへ「移動」する機能は無い。Azure Resource Mover を使うか、スナップショット/イメージから作り直す。Azure Site Recovery を使ってレプリケートし、フェールオーバーさせる形で移す方法もある(第 15 章)。

この章のまとめ

  1. OS ディスクに使えないディスクの種類
  2. Ultra Disk の 3 つの制約
  3. Standard HDD の OS ディスク利用が廃止される日
  4. 課金を止める停止操作
  5. 一時ディスクまで暗号化するのはどちらか
  6. 障害ドメインが備えるもの

この章の根拠

試験 AZ-104 の学習ガイド(Microsoft Learn)

最終確認 2026-10-04 / 対応バージョン DEA 2026-05-04 改訂版