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AWS SAA の問題集と模擬試験の選び方

2026-08-07
NicheeLab編集部

『AWS SAA 問題集』と『AWS SAA 過去問』は同じくらいの量が検索されていますが、この 2 つのうち片方は存在しません。 問題集を正しく選ぶには、まず市場に何が並んでいるのかを知る必要があります。そして SAA-C03 の教材市場には、使うと認定を取り消されうるカテゴリが 1 つ混ざっています。 本記事では選択肢を整理し、使い方を示し、『どこまで取れたら本番に行っていいか』の具体的な基準を出します。

まず結論

AWS SAA に過去問は存在しません。AWS は本試験の問題を公開していないため、『過去問』として売られているものは再現問題か、違反にあたるダンプのどちらかです。 演習は無料の公式 20 問を物差しに更新されている問題集で 500 問以上を確保し、同じプールは 3 周まで。初見問題で 80% が本番に進む合図です。

「AWS SAA の過去問」は存在しない

ここが全ての出発点です。試験ごとに問題冊子を後から公開する情報処理技術者試験などとは異なり、AWS は本試験で使用した問題を公開していません。アーカイブも、公式リリースも、年度別の問題冊子も存在しません。 AWS が代わりに公開しているのは 公式試験ガイド です。ここには出題分野・配点比率・タスクステートメント・対象範囲のサービス一覧が記載されています。つまり公開されているのは試験の仕様であって中身ではありません

したがってインターネット上で『AWS SAA 過去問』と表示されているものは、必ず次の 2 つのどちらかです。

  • 再現問題・予想問題(合法): 公式試験ガイドのタスクステートメントと、受験者が語る出題傾向をもとに、教材の作り手が新規に書き起こした問題。実問題そのものではないが、傾向としては本番に近づけて作られている。市販の問題集や Web 問題集の大半はこれにあたる。
  • ブレインダンプ(違反): 実際の試験問題を持ち出して転載したもの。AWS 認定のポリシーに違反し、利用が発覚した場合は認定の取り消しや今後の受験資格の停止といった措置の対象になり得る。

この区別が重要なのは、2 つ目のカテゴリが検索者がそのまま打ち込む言葉で宣伝されているからです。『実問題』『本物』『的中率』といった表現がそれにあたります。出題範囲のカバーではなく試験の中身そのものを約束している売り文句は、避けるべき合図だと考えてください。

問題集の 4 タイプと選び方

合法な選択肢は 4 種類あります。役割が違うので、どれか一つを選ぶというより組み合わせを設計する問題として考えてください。

種類問題数価格強み弱み
AWS 公式練習問題セット20 問無料本番の文体・粒度が唯一正確に分かる量が絶対的に足りない(本番は 65 問)
AWS 公式模擬試験本番形式有料(AWS Skill Builder 個人サブスク 29 USD/月から)出題元が公式なので傾向のずれが無いサブスクリプション前提。円建て価格は公式に確認できない
市販の書籍(問題集・参考書)数百問規模有料(単発購入)解説が丁寧で体系立っている。日本語の説明が読みやすい改訂サイクルが遅く、サービス仕様の変化に遅れることがある
Web / アプリ形式の問題集数百〜数千問無料〜サブスクリプション量を確保しやすく、更新が速い。分野別・難易度別の集計が取れる品質のばらつきが大きく、出典不明のダンプが紛れ込む場合がある

推奨する組み合わせは単純です。まず無料の公式 20 問で本番の文体を測り、量は書籍か更新されている Web 問題集から確保し、必要なら終盤に公式模擬試験を 1 回入れて出題元による通し形式のリハーサルを行う。 候補の問題集を評価するときは、次の 4 つのチェックで使えるものと使えないものが分かれます。

  • SAA-C03 に対応しているか: 現行の試験コードは SAA-C03 です。SAA-C04 は存在しません。旧コード向けの教材や、存在しないコードを謳う教材は避けてください。
  • 解説が『他の選択肢がなぜ違うか』まで書いてあるか: 正解の理由しか書いていない解説は、SAA では半分の価値しかありません。誤答の切り方こそが得点源だからです。
  • 分野別に正答率が出せるか: 公式の配点比率は 30/26/24/20 です。どの分野が弱いか分からないと、配点の大きい分野を優先する判断ができません。
  • 出題形式が択一選択と複数選択だけか: SAA-C03 の出題形式はこの 2 種類だけです。並べ替えやケーススタディ形式が混ざっている教材は、他ベンダーの試験と混同して作られている疑いがあります。

ブレインダンプに手を出してはいけない理由

本試験から持ち出して転載されたコンテンツの利用は AWS 認定のポリシー違反にあたります。そして結果は理論上の話ではありません。認定の取り消しや、今後の受験資格の停止といった措置の対象になり得ます。 受験者が受験前に同意するルールは AWS の受験前ポリシーのページ に、プログラム全体の条件は 認定 FAQ に掲載されています。 本記事では具体的なサイト名を挙げません。問題はカテゴリであって、名指しのリストではないからです。

ポリシー上のリスクとは別に、ダンプは教材としても機能しません。理由は 3 つあります。

  • 出典が管理されていないので更新されない: SAA-C03 は AWS のサービス仕様の変化に合わせて内容が更新されていきます。管理者のいない転載物は、改訂で古くなった内容や、そもそも誤った解説をそのまま抱えたまま流通し続けます。
  • 暗記は本番の言い換えに耐えない: SAA は要件から最適な構成を選ばせる試験なので、同じ論点が異なる要件文で出題されます。答えの位置を覚える学習では、言い換えられた瞬間に対応できません。
  • 認定そのものが目的を果たさなくなる: 転職市場で AWS 認定が評価されるのは、設計判断ができることの根拠としてです。面接で構成の理由を問われて答えられなければ、証書は機能しません。

SAA は正規の教材だけで合格できる試験です。リスクを取って得られるものが何もありません。そこに至る学習計画は AWS SAA の勉強方法の記事 にまとめています。

問題集の正しい使い方 — 周回数・間違いノート・解説の比重

良い問題集を買うこと自体には、ほとんど効果がありません。点になるのは使い方の規律です。各周に別々の役割を与え、3 周で打ち切るのが原則です。

周回目的やり方解説を読む比重
1 周目実力測定と弱点の洗い出し時間は測らない。分からない問題も必ず選んでから答え合わせ全問読む。正解した問題も読む
2 周目間違いの潰し込み1 周目に間違えた問題と『自信が無かった正解』だけを解く誤答選択肢がなぜ違うかを自分で言えるか確認してから読む
3 周目仕上げと時間感覚の獲得全問を 65 問 130 分の通し形式で。1 問 2 分のペースを体に入れる間違えた問題のみ。ここで新しく増える誤答が本当の弱点
4 周目以降非推奨同じプールを続けると答えの位置を記憶し始める別プールの初見問題に移り、そこでの正答率を指標にする

間違いノートには独立したルールが必要です。多くの人が機能しない形で作ってしまうからです。問題番号を並べただけのノートは役に立ちません。 価値があるのは、1 件ごとに 『正解と自分が選んだ選択肢を分ける条件』を 1 行で書いたノートです。たとえば『複数インスタンスからの共有アクセスが要件に含まれるなら、ブロックではなくファイルシステム側を選ぶ』のような形です。 この形で書けば、ノートは前日に 15 分で見返せる判断基準の集合になります。解き直しが必要な問題の山にはなりません。

何 % 取れれば本番で通用するか

まず重要な訂正から。SAA-C03 の合格スコアは 1000 点満点中 720 点で、これを『72% 正解すればいい』と読み替えたくなりますが、その読み方は誤りです。 AWS が返すのは 100〜1000 のスケールドスコアで、実際に出題された問題の難易度に応じた補正が入ります。したがって正答率とスコアは一対一で対応しません。 さらに 65 問のうち 15 問は採点対象外で、どれがそれかは分かりません。加えて分野別の足切りは無いため、苦手分野があっても総合点が届けば合格します。

この不確実性があるため、狙うべきは合格ラインそのものではなく合格ライン+マージンです。演習の数字は次のように読んでください。

初見問題での正答率判断次にやること
60% 未満インプット不足配点の大きい分野から学習に戻る。演習量を増やしても伸びない段階
60〜70%知識はあるが選択肢を切れていない解説の読み方を変える。誤答選択肢がなぜ違うかを毎問言語化する
70〜80%合格圏の入口。ただし当日の揺れで落ちうる弱い分野を 1 つに絞って集中的に埋める。通し形式で時間を測る
80% 以上を 2 回連続受験して問題ない水準直前は新規問題を増やさず、間違いノートの周回に切り替える

ここで使っている枠組みに注意してください。AWS はどの認定についても合格率を公表していません。したがって『AWS SAA の合格率は約 XX%』と書いている記事は、誰かが作った推定値を引用しているにすぎません。 測定できるのは自分の正答率だけです。上の表を『正答率の目安』として書き、『合格率』としていないのはそのためです。

問題集の「質」を難易度分布で測る

ほとんど語られない観点をもう一つ。問題集の難易度分布を見ると、その問題集が対象の試験に合わせて作られているかが分かります。 当サイトの AWS 練習問題は難易度タグ付けされており、試験のティアによって分布の形がはっきり違います。

試験easymediumhardhard 比率
CLF-C02 (練習 400 問)149222297%
SAA-C03 (練習 400 問)1222314712%
SAP-C02 (練習 400 問)3124512431%

ここから 2 つのことが読めます。ひとつは SAA が medium 中心の試験だということ。400 問中 231 問が中間帯にあり、hard は 12% しかありません。 マニアックな例外知識を前面に出す問題集は、SAA をモデル化しているのではなく作り手が『難しそうに見える』と考えたものをモデル化しています。良い問題集は中間帯を安定させます。試験本体がそこにあるからです。 もうひとつは、hard 比率が CLF 7% → SAA 12% → SAP 31% と上がることが示す通り、あるティア向けの問題集が別のティアの代わりにはならないということ。SAA の前に『先取り』で SAP の問題を解くのは、前倒しではなく配分ミスです。 試験間の難易度差については AWS 資格の難易度ランキングAWS SAA の難易度 で詳しく扱っています。

最後にコストの話を。再受験には 20,000 円 / 150 USD が全額かかり、14 日の待機期間もあります。数千円を惜しんで演習教材への投資を削ると、多くの場合そのほうが高くつきます。 当日に実際に何が起きて落ちるのかは AWS SAA に落ちた原因の分析勉強時間の記事 で、最も多い 2 つの原因を扱っています。

よくある質問

AWS SAA に過去問はありますか?

ありません。AWS は本試験で出題した問題を公開していないため、大学入試や情報処理技術者試験のような意味での『過去問』は存在しません。世の中で『AWS SAA 過去問』と呼ばれているものは、実際には 2 種類のどちらかです。ひとつは受験者の記憶や公式試験ガイドをもとに作られた再現問題・予想問題で、これは合法な学習教材です。もうひとつは実際の試験問題を持ち出して転載したもの(いわゆるブレインダンプ)で、これは AWS 認定のポリシーに違反し、利用が発覚した場合には認定の取り消しや今後の受験資格の停止といった措置の対象になり得ます。AWS が正規に提供している演習用の問題は、無料の 20 問セットの公式練習問題と、AWS Skill Builder の有料サブスクリプションに含まれる公式模擬試験の 2 つです。

問題集は何周すればいいですか?

同じプールを 3 周が上限で、それ以上は効果が急減します。1 周目は実力測定と弱点の洗い出し、2 周目は間違えた問題だけを対象にした復習、3 周目は全問を時間を測って通す仕上げ、という役割分担にするのが効率的です。4 周目以降は問題文と正解の位置を記憶し始めるため、正答率が上がっても実力が上がっているとは限らなくなります。3 周終えたら別プールの初見問題に移り、そこでの正答率を本当の指標として使ってください。合計の演習量としては 500 問以上を目安にすると、SAA-C03 の 4 分野に対して十分な露出が確保できます。

問題集で何 % 取れれば本番で通用しますか?

初見の問題で安定して 80% 以上、が実用的な目安です。ここで重要なのは 2 点あります。ひとつは『初見』であること。すでに何周もしたプールでの 90% は記憶の測定であって実力の測定ではありません。もうひとつは、合格スコア 720/1000 を『正答率 72%』と読み替えないこと。AWS のスコアは 100〜1000 のスケールドスコアで、問題の難易度に応じた補正が入る仕組みです。したがって正答率とスコアは一対一で対応しません。さらに、65 問のうち 15 問は採点対象外です。この 2 つの不確実性を吸収するために、合格ラインと同じ水準ではなくマージンを乗せた 80% を目標に置きます。なお AWS は合格率を公表していないため、『合格率』ではなく『正答率の目安』として扱うのが正確です。

ブレインダンプ(実問題の転載)を使うとどうなりますか?

AWS 認定のポリシー違反にあたり、認定の取り消しや受験資格の停止といった措置の対象になり得ます。加えて実務的な問題もあります。転載された問題は出典が管理されていないため、試験改訂で古くなった内容や、そもそも誤っている解説がそのまま残っていることが珍しくありません。SAA-C03 は AWS のサービス仕様の変化に追随して内容が更新されていく試験なので、更新されない問題集を信用するリスクは年々大きくなります。さらに、丸暗記で通過した認定は面接や実務の場で機能しません。転職市場で認定が評価されるのは『設計判断ができる根拠』としてであって、証書そのものではないからです。正規の教材だけで合格できる試験なので、リスクを取る合理的な理由がありません。

公式の練習問題だけで合格できますか?

無料の公式練習問題だけでは量が足りません。AWS が無料で提供している公式練習問題は 20 問のセットで、本番は 65 問です。つまり無料の公式問題を全問正解しても、本番 1 回分の 3 分の 1 に満たない演習量にしかなりません。公式模擬試験は AWS Skill Builder の有料サブスクリプション(個人向けは 29 USD/月から)に含まれる形での提供です。したがって現実的な構成は、公式の 20 問を『本番の設問がどういう文体・粒度で書かれているかを測る物差し』として最初に使い、演習量そのものは別の問題集から確保する、という組み合わせになります。物差しを持たずに大量の問題を解くと、本番と傾向の違う問題で時間を使ってしまう危険があります。

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本記事の試験スペックとポリシーに関する記述は、SAA-C03 公式試験ガイドAWS Certified Solutions Architect – Associate 公式ページAWS 認定の試験準備ページ受験前ポリシーAWS 認定 FAQ に基づいています。 AWS は合格率を公表していないため、本記事に合格率の数値は掲載していません。本文中の基準はいずれも練習問題における正答率の目安です。 難易度分布の数値は NicheeLab が保有する AWS 問題データベースの実測値です。 本記事は Amazon Web Services の公式商品ではなく、いかなる提携・後援関係もありません。Amazon Web Services、AWS は Amazon.com, Inc. またはその関連会社の商標です。 情報は 2026 年 8 月 7 日時点の公式公開資料に基づきます。最新情報は必ず公式ページをご確認ください。

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この記事の著者

NicheeLab編集部

データエンジニアリング・クラウド資格の専門家。Databricks・Snowflake等の認定資格を保有し、実務経験に基づいた問題作成・解説を行っています。NicheeLab運営。


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