VMware 上の業務システムを最小ダウンタイムで移行する
全国の調剤薬局へ医薬品を配送する卸売企業が、20 年以上運用してきた倉庫管理システムを AWS へ移行します。このシステムはアプリケーションサーバー 1 台と PostgreSQL データベースサーバー 1 台で構成され、いずれも VMware 仮想マシンとして稼働しており、複数のアタッチ済みボリュームを合わせたデータ量は約 600 TB です。同社は最寄りの AWS リージョンとの間に 10 Gbps の AWS Direct Connect 接続を敷設済みで、この回線は現状ほとんど帯域が使われていません。配送業務は 24 時間動いているため、切り替え時の停止時間を可能な限り短くする必要があります。ソリューションアーキテクトが実施すべき方策の組み合わせはどれですか。2 つ選択してください。
複数選択問題です (正解 2 つ)。選んでから判定してください。
解説を読む(正解: D、E)
移行時のダウンタイムを最小化する定石は、稼働中の本番環境から継続的にレプリケーションを行い、切り替え直前まで差分を追従させておく手法です。アプリケーションサーバーのようにサーバー丸ごとを持ち上げたい (リホストしたい) 対象には AWS Application Migration Service (MGN) が適しています。MGN はソース VM にエージェントを導入してブロックレベルの継続的レプリケーションを行い、テストインスタンスでの検証を経て、カットオーバーは分単位で完了します (D)。一方、PostgreSQL データベースは AWS DMS でフルロード後に CDC を有効にすることで、移行中も本番の更新が継続的に反映され、切り替え時には残差分の適用だけで済みます。同時に Amazon Aurora PostgreSQL 互換エディションというマネージドサービスへ移行できるため、運用負荷の削減という副次的な効果も得られます (E)。A も技術的には可能ですが、データベースをブロックレベルでリホストするとマネージドサービス化の機会を逃し、大容量ボリュームの整合性確保も複雑になるため、DMS を選べる状況では最適解になりません。B の VM Import/Export はイメージを一度書き出して取り込むオフラインの一括処理で、継続的な差分追従を提供しないため、変換とインポートの間はシステムを止める必要があります。C の Snowball Edge は Direct Connect の帯域が不足する場合の選択肢ですが、ここでは 10 Gbps 回線が空いており、物理輸送は数日から数週間の遅延を生むうえ、輸送中の更新差分を追従できません。
大量の VM とファイルサーバーを最短時間で移行する方式
産業機械メーカーが、自社データセンターの VMware クラスターで稼働する 90 台の仮想マシンを AWS へ移行しようとしています。仮想マシンのオペレーティングシステムは Windows と複数の Linux ディストリビューションが混在しており、社内で内製した制御ソフトウェアが多数インストールされています。加えて、オンプレミスには 12 TB のデータを保持する NFS ファイルサーバーがあります。移行のために 10 Gbps の AWS Direct Connect 接続はすでに開通済みです。移行を最も短い時間で完了できるソリューションはどれですか。
解説を読む(正解: A)
AWS Application Migration Service (AWS MGN) は、移行元サーバーにエージェントを導入してブロックレベルの継続的レプリケーションを行うリホスト (lift and shift) 用のマネージドサービスです。OS もインストール済みのソフトウェアもそのまま複製されるため、内製アプリケーションの再インストールや再設定が不要で、初回同期の完了後は数分のカットオーバーで切り替えられます。ファイルデータについては AWS DataSync が並列転送と整合性チェックを自動化し、専用線経由で高速に転送できます。10 Gbps の Direct Connect が開通済みであれば、12 TB のデータは理論上数時間で転送可能です。
A はこの 2 つを組み合わせ、OS とカスタムソフトを保ったまま 90 台をレプリケートし、NFS データは Direct Connect 経由で Amazon EFS へ転送するため、選択肢の中で最短の移行時間になります。
B は仮想マシンを 1 台ずつエクスポートして S3 にアップロードし VM Import/Export で AMI 化する手作業が多く、さらに NFS 部分は Snowball Edge の配送と返送で数日を要します。C は 90 台分の OS 構築と内製ソフトの再インストールを人手で行うため最も時間がかかり、失敗リスクも高く、Amazon FSx for Lustre は HPC 向けの高速並列ファイルシステムで一般的な NFS 共有の置き換え先としては適切ではありません。D は 10 Gbps の専用線が使える状況にもかかわらず、往復で 1 週間程度かかる Snowball Edge を 2 台使う選択であり、時間短縮の観点で明確に劣ります。
VMware 上のアプリと SQL Server の低ダウンタイム移行
産業用ポンプの設計会社が、自社データセンターで稼働するレガシーな設計管理システムを AWS へ移行します。システムはアプリケーションサーバー 1 台と Microsoft SQL Server データベースサーバー 1 台で構成され、いずれも VMware の仮想マシン上で動作しています。データベースは複数のアタッチ済みボリュームにまたがって約 480 TB を消費しています。同社は最寄りの AWS リージョンとの間に 10 Gbps の AWS Direct Connect 接続を確立済みで、この回線は現在他のサービスに使われていません。カットオーバー時のダウンタイムを最小限に抑えて移行するために実施すべき手順の組み合わせはどれですか。2 つ選択してください。
複数選択問題です (正解 2 つ)。選んでから判定してください。
解説を読む(正解: D、E)
ダウンタイムを最小化する移行では、事前に本番稼働を止めずにデータを継続的にレプリケートしておき、カットオーバー時には差分の適用と切り替えだけを行う「継続レプリケーション型」の手法を選ぶのが原則です。アプリケーションサーバーについては AWS Application Migration Service (AWS MGN) が適しています。MGN は移行元のサーバーにエージェントを導入してブロックレベルの継続レプリケーションを行い、稼働を続けたまま AWS 側にステージング領域を維持します。カットオーバーはテストインスタンスの検証後に数分で完了するため、停止時間はごく短く抑えられます。データベースについては AWS Database Migration Service (AWS DMS) が適合します。DMS はフルロードに続いて変更データキャプチャ (CDC) による継続的な差分適用を行うため、480 TB の初期ロード中も本番の SQL Server は稼働し続け、差分が追いついた時点で切り替えられます。10 Gbps の Direct Connect が空いているため、この規模のデータをネットワーク経由で転送する余裕もあります。したがって D と E が正解です。A はダンプとリストアによる一括移行であり、ダンプ取得から復元完了まで書き込みを止める必要があるため、480 TB 規模ではダウンタイムが極めて長くなります。B の VM Import/Export はオフラインでエクスポートした仮想マシンイメージを取り込む方式で、エクスポート時点以降の変更が反映されず、継続レプリケーションもできないため停止時間が長くなります。C の Snowball Edge は物理デバイスの往復に日単位の時間がかかるうえ、10 Gbps の Direct Connect が未使用で確保されている状況ではネットワーク転送のほうが速く、かつイメージのエクスポート中に更新が止まる点でも要件に反します。