第 15 章 Azure リソースの監視と管理(10〜15%)

バックアップと回復

この章で学ぶこと

  • Recovery Services コンテナーの作成
  • Azure Backup コンテナーを作成する
  • バックアップ ポリシーを作成して構成する
  • Azure Backup を使用してバックアップと復元の操作を実行する
  • Azure リソース用に Azure Site Recovery を構成する

この章に出てくる用語

Azure Backup
VM やファイル、データベースの複製を定期的に取り、必要なときに元の場所へ戻すためのサービス。 バックアップ先のストレージは Azure が管理するので、利用者は「何を」「どれくらいの頻度で」「どれだけの期間」残すかを決めるだけでよい。ここで言う「コンテナー(Vault)」は、バックアップデータと設定を入れておく器で、Blob のコンテナーとは別物。
Azure Site Recovery(ASR)
サーバーを別の場所へ継続的に複製しておき、障害時にそちらへ切り替えて動かし続けるためのサービス。 Backup が「あとで戻すための複製」なのに対し、こちらは「すぐ動かせる状態の複製」を別リージョンに持ち続ける。オンプレミスから Azure への移行にも使われる。

バックアップデータを入れる器が 2 種類あり、守る対象によってどちらを使うかが決まっている。選択の余地はない。

図 15-1 どちらのコンテナーか
図 15-1 どちらのコンテナーか
ワークロードコンテナー
Azure VMRecovery Services コンテナー
Azure VM 内の SQL Server / SAP HANARecovery Services コンテナー
Azure FilesRecovery Services コンテナー
オンプレの Windows Server(MARS エージェント)Recovery Services コンテナー
System Center DPM / Azure Backup Server(MABS)Recovery Services コンテナー
Azure Site RecoveryRecovery Services コンテナー
Azure BlobBackup コンテナー
Azure DiskBackup コンテナー
Azure Database for PostgreSQLBackup コンテナー
Kubernetes(AKS)Backup コンテナー

試験では

覚え方は「従来からのワークロードは Recovery Services、比較的新しいデータサービスは Backup コンテナー」。Azure Site Recovery も Recovery Services コンテナーを使う点に注意する。

後から変更できない設定

試験では

コンテナーのストレージ冗長性(LRS / GRS / ZRS)は、最初のバックアップを保護した後は変更できない。「後から GRS にしたい」→ できない。コンテナーを作り直すことになる。これが最も定番の設問。

補足

GRS のコンテナーではリージョン間復元(CRR)を有効にできる。Microsoft が障害を宣言するのを待たずに、自分の判断でセカンダリリージョンの復旧ポイントから復元できるようになる。

バックアップポリシーは、頻度(スケジュール)と保持期間(日次・週次・月次・年次)を定義する。1 つのポリシーを複数のリソースに適用できる。

インスタント復元

バックアップ時には、まずスナップショットが取られる。コンテナーへ転送し終える前でも、このスナップショットから高速に復元できる。既定の保持は 2 日で、1〜5 日の範囲で設定できる。

論理的な削除

試験では

削除されたバックアップデータは追加で 14 日間保持され、この期間は課金されない。「バックアップを消したのにすぐ消えない」「誤って消したが戻せるか」の答えがこれ。強化された論理的な削除では期間をカスタマイズでき、常時オンにもできる。

オンプレミスをバックアップする

ツールできることこう聞かれたら選ぶ
MARS エージェントWindows のファイル・フォルダー・システム状態を直接 Azure へファイル単位で手軽に
Azure Backup Server(MABS)/ DPMSQL、SharePoint、Exchange、Hyper-V / VMware VMアプリケーション整合性/ベアメタル復旧

試験では

MARS エージェントだけではアプリケーション整合性のあるバックアップやベアメタル復旧はできない。SQL Server や Exchange を止めずに整合性を保って取りたいなら MABS / DPM が要る。

# Recovery Services コンテナーを作る
az backup vault create -g rg -n vault1 \
  --location japaneast
# VM の保護を有効にする
az backup protection enable-for-vm -g rg \
  --vault-name vault1 --vm vm1 \
  --policy-name DefaultPolicy
# ディスクを復元する
az backup restore restore-disks -g rg \
  --vault-name vault1 --container-name <c> \
  --item-name vm1 --rp-name <復旧ポイント> \
  --storage-account <保存先>

VM やサーバーを別リージョン(またはオンプレから Azure)へ継続的にレプリケートし、災害時にそちらへ切り替えて動かし続けるサービスだ。

図 15-2 Backup と Site Recovery の役割
図 15-2 Backup と Site Recovery の役割

試験では

Backup は「戻す」、Site Recovery は「別の場所で動かし続ける」。「リージョン障害が起きても業務を継続したい」→ Site Recovery。「誤って消したファイルを戻したい」→ Backup。どちらか一方で両方は賄えない。

RPO と RTO

指標意味覚え方
RPO(復旧ポイントの目標)障害時に失われうるデータの時間幅どこまで戻るか
RTO(復旧時間の目標)復旧までにかかる時間の目標どれだけ早く戻るか

フェールオーバーの種類

図 15-3 3 つのフェールオーバー
図 15-3 3 つのフェールオーバー

試験では

「本番を止めずに復旧手順を確認したい」→ テストフェールオーバー。分離したネットワークで実行されるので、稼働中のシステムに影響しない。定期的に実施して手順を検証するのが実務でも推奨される。

フェールオーバーの後、元のリージョンへ戻すには再保護(逆方向へレプリケートし直す)とフェールバック(元へ切り替える)の 2 段階が必要になる。単に「戻す」ボタンがあるわけではない。

バックアップレポートは、バックアップの成否・使用容量・ポリシー準拠を集計する機能だ。

試験では

バックアップレポートの利用には Log Analytics ワークスペースが必要。コンテナーの画面だけでは出ない。第 14 章の診断設定でログを送る構成が前提になる。

補足

バックアップジョブの失敗は、Azure Monitor のアラートで通知できる。アクショングループ(第 14 章)を使い回せるので、他の監視と同じ通知先にまとめられる。

この章のまとめ

  1. Azure VM をバックアップするコンテナー
  2. Azure Blob をバックアップするコンテナー
  3. Azure Site Recovery が使うコンテナー
  4. コンテナーのストレージ冗長性は後から変更できるか
  5. GRS のコンテナーで障害宣言を待たずに復元する機能
  6. インスタント復元スナップショットの既定の保持

この章の根拠

試験 AZ-104 の学習ガイド(Microsoft Learn)

最終確認 2026-10-04 / 対応バージョン DEA 2026-05-04 改訂版