第 9 章 高パフォーマンスなアーキテクチャの設計(24%)

ネットワークの設計

この章で学ぶこと

  • 適切なユースケースを伴うエッジネットワーキングのサービス(CloudFront、Global Accelerator)
  • ネットワークアーキテクチャの設計(サブネットの階層、ルーティング、IP アドレッシング)
  • ロードバランシングの概念(Application Load Balancer)
  • ネットワーク接続のオプション(AWS VPN、Direct Connect、AWS PrivateLink)

VPC を作るときに決めるのは CIDR ブロック(IP の範囲)だ。後から広げるのは面倒なので、最初に余裕を持たせる。

図 9-1 VPC とサブネットの設計
図 9-1 VPC とサブネットの設計
決めること押さえる数字・考え方
VPC の CIDR/16 〜 /28 の範囲で指定する。あとから追加の CIDR は足せる
サブネットの大きさ各サブネットで 5 個の IP が予約される(使えるのは「個数 − 5」)
層の分け方パブリック(受ける)/プライベート(アプリ)/プライベート(DB)の 3 層が基本
AZ の数最低 2 つ、できれば 3 つにまたがらせる
オンプレとの重複CIDR が重なると繋げない。 将来の接続を考えて決める

補足

予約される 5 個は、ネットワークアドレス、VPC ルーター、Amazon が提供する DNS、将来のための予約、ブロードキャストアドレスだ。/24(256 個)なら実際に使えるのは 251 個になる。小さすぎるサブネットを切ると、ASG が増やしたいときに IP が足りなくなる。

繋ぎ方は 2 つある。数が少ないならピアリング、増えるなら Transit Gateway。

図 9-2 ピアリングと Transit Gateway
図 9-2 ピアリングと Transit Gateway
VPC ピアリングAWS Transit Gateway
形1 対 1 で繋ぐ中央のハブに集める
推移性無い。 A-B と B-C があっても A-C は通らないある。 ハブ経由で全部つながる
数が増えると組み合わせが爆発する(N × (N−1) / 2 本)各 VPC から 1 本ずつ
オンプレとの接続できないVPN や Direct Connect もまとめられる
CIDR の重複不可不可
料金データ転送のみアタッチメント課金+データ処理料

試験では

「VPC が 3 つ以上」「オンプレも含めてまとめたい」は Transit Gateway。ピアリングが推移しないことを使った設問(A から C に届かない理由)も出る。

CloudFront と Global Accelerator はどちらもエッジを使うので混ざりやすい。だが役割がはっきり違う。キャッシュするかどうかだ。

図 9-3 CloudFront と Global Accelerator
図 9-3 CloudFront と Global Accelerator
Amazon CloudFrontAWS Global Accelerator
何をするかエッジにキャッシュして返すAWS のバックボーンを通して最短で届ける
キャッシュするしない
扱えるものHTTP / HTTPS(静的も動的も)TCP / UDP。HTTP 以外も
IP可変固定のエニーキャスト IP が 2 つ
向く場面画像・動画・Web の配信ゲーム・IoT・VoIP・固定 IP が要る
障害時オリジンを切り替え健全なリージョンへ速く切り替わる

試験では

「静的コンテンツの配信を速くしたい」は CloudFront。「UDP のゲームトラフィック」「固定 IP が要る」「リージョン間のフェイルオーバーを速く」は Global Accelerator。キャッシュが効かない動的な通信を速くしたいなら Global Accelerator が候補になる。

補足

CloudFront から S3 を配るときは OAC(Origin Access Control) を使い、S3 バケットは公開しない。「S3 を公開せずに CloudFront 経由だけで配りたい」という設問の答えがこれ。また、署名付き URL / 署名付き Cookie で、期限付きの限定公開ができる。

第 4 章では疎結合の道具として見た。性能の観点では次の点が問われる。

要件答え
極端に多いリクエスト・低遅延NLB(L4 なので軽い)
固定 IP・Elastic IP を割り当てたいNLB
送信元 IP をそのまま後ろへ渡したいNLB(ALB は X-Forwarded-For ヘッダーで渡す)
URL のパスやホスト名で振り分けたいALB
WebSocket・HTTP/2ALB
サードパーティの検査装置を挟みたいGWLB
やりたいこと使うもの押さえること
オンプレと安定した帯域で繋ぐDirect Connect1 / 10 / 100 Gbps。ホスト型はもっと細かい
すぐ・安く繋ぐSite-to-Site VPNインターネット経由。帯域は揺れる
自社サービスを相手の VPC に見せるPrivateLinkENI として出す。VPC 全体は見せない
AWS のサービスへ VPC 内からVPC エンドポイントS3 と DynamoDB はゲートウェイ型(無料)
複数の VPC とオンプレをまとめるTransit Gatewayハブとして経路を集約する

補足

VPC の中では ジャンボフレーム(MTU 9001) が使える。大きなデータを転送するときの効率が上がる。ただしインターネットへ出る経路では使えない。

遅延を詰める最後の手段は物理的な配置だ。4 つの選択肢があり、近づく順に並べられる。

図 9-4 どこに置くか
図 9-4 どこに置くか
選択肢どこに置かれるか向く場面
リージョンAWS のデータセンターふつうはこれ
AWS Local Zones大都市の近くそのエリアで一桁ミリ秒が要る
AWS Outposts自社のデータセンターの中法令やレイテンシーで持ち出せない
AWS Wavelength通信事業者の 5G ネットワークの中モバイル端末に極めて近い処理

試験では

「データを自社の建物から出せない」は Outposts。「特定の都市で一桁ミリ秒」は Local Zones。「5G の端末の近く」は Wavelength。この 3 つは要件の語がそのまま答えになる。

図 9-5 要件の語からネットワークを決める
図 9-5 要件の語からネットワークを決める
問題文に出る語答えの方向
静的コンテンツ・動画を世界に配信Amazon CloudFront
S3 を公開せずに配りたいCloudFront + OAC
UDP・固定 IP・リージョン間の速い切り替えAWS Global Accelerator
VPC が増えて経路が複雑AWS Transit Gateway
A から C に届かない(ピアリング)推移しない。TGW か直接ピアリング
自社サービスを他社の VPC に見せるAWS PrivateLink
安定した帯域でオンプレとAWS Direct Connect
特定の都市で一桁ミリ秒AWS Local Zones
建物からデータを出せないAWS Outposts
IP が足りなくなったサブネットの設計を見直す(予約 5 個に注意)

シナリオ演習

世界中の利用者へ動画を配信している。オリジンは S3 で、転送料が月々の請求の大半を占めている。

補足

答え:CloudFront を前に置き、キャッシュの有効期間を伸ばす。S3 は公開せず OAC 経由にする。

AWS のオリジンから CloudFront への転送は無料で、CloudFront からインターネットへの単価は S3 から直接出すより安い。キャッシュに当たればオリジンまで取りに行かない。

シナリオ演習

オンラインゲームのサーバーを 3 つのリージョンで動かしている。通信は UDP で、クライアントには固定の接続先 IP を配りたい。

補足

答え:AWS Global Accelerator を使う。

CloudFront は HTTP / HTTPS 用でキャッシュが前提なので、UDP は扱えない。Global Accelerator は固定のエニーキャスト IP を持ち、健全なリージョンへ速く切り替わる。

この章のまとめ

  1. VPC の CIDR に指定できる範囲
  2. サブネットごとに予約される IP の数
  3. /24 のサブネットで実際に使える IP の数
  4. VPC ピアリングは推移するか
  5. VPC とオンプレをまとめるハブ
  6. CloudFront はキャッシュするか

この章の根拠

AWS Certified Solutions Architect - Associate (SAA-C03) 試験ガイド

最終確認 2026-10-04 / 対応バージョン DEA 2026-05-04 改訂版