AI-901: Microsoft Azure AI Fundamentals は、2026 年 6 月に GA した新試験で、2026 年 6 月 30 日に退役した AI-900 の後継です。 位置付けは「AI-900 の後継」ですが、中身は単なる呼称変更ではありません。 旧 AI-900 が個別の Cognitive Service を概念レベルで紹介する試験だったのに対し、AI-901 はMicrosoft Foundry という統合プラットフォームの上で実際にコードを書く試験へと大きく舵を切りました。
受験を検討している方の多くがまず迷うのが「AI-900 と AI-901 のどちらを受けるか」「Python は必須か」「Microsoft Foundry は何が違うのか」の 3 点ではないでしょうか。 本記事では公式 Skills measured (2026-04-15 時点) を起点に、Microsoft Foundry の正体、Responsible AI 6 原則の試験出題傾向、AI-900 との具体的な違い、そして AI-103 への発展まで一気通貫で整理します。
AI-901 で取得できる認定は Microsoft Certified: Azure AI Fundamentals。これは AI-900 で得られていたものと同じバッジです。 Microsoft はこの認定自体を退役させてはおらず、取得要件を AI-900 から AI-901 に差し替えました。つまり、いまこの認定を取るには AI-901 に合格します。 違うのは試験内容と難易度で、AI-900 は概念理解、AI-901 は Microsoft Foundry での実装が中心です。 すでに AI-900 で認定を取得している人は、その認定をそのまま保持できます。受け直しは不要です。
合格点は Fundamentals 共通の 700 / 1000。試験時間と問題数は公式試験ページに明示されていません。 受験料も「国・地域により異なる」とだけ書かれており、固定額は公開されていません。金額は公式試験ページで国・地域を選ぶか、Pearson VUE の申込画面で確認してください。
認定の有効期限は 1 年。Microsoft Learn 上の無料 renewal assessment で更新できます。 AZ-900 など他の Fundamentals が無期限なのに対し、AI-901 は年次更新が必要な点に注意が必要です。これは AI 領域の変化スピードが速いことを Microsoft が認めている証拠でもあります。
AI-900 と AI-901 の最大の違いは「コーディングが必要かどうか」です。 AI-900 は技術職・非技術職を問わず誰でも受験できる概念試験で、Python の知識はゼロでも合格できる設計でした。 対して AI-901 はドメイン 2 (配点 55-60%) のほぼすべてが Microsoft Foundry SDK を使った実装問題で、Python の基本構文と pip install レベルの操作が前提になっています。
出題ドメインの数自体も変わりました。AI-900 は 5 ドメイン (各 15-25%) に分かれており、Cognitive Service の各機能 (Vision/Speech/Language/Decision/Generative AI) を個別に問う構成でした。 AI-901 はこれを 2 ドメインに集約し、ドメイン 1 で AI 全般の概念と Responsible AI 原則、ドメイン 2 で Microsoft Foundry 上の実装を問う構成に変わっています。 個別 Cognitive Services の名称は Foundry Tools に統一され、たとえば旧 Form Recognizer は Azure Content Understanding に統合されました。
生成 AI の比重も大幅に増えています。AI-900 では生成 AI は 20-25% の 1 ドメインに収まっていましたが、AI-901 ではドメイン 2 のほぼ全体が Foundry 上の生成 AI とエージェント実装で占められています。 プロンプトエンジニアリング、マルチモーダルモデル、シングルエージェント構築・テストといった近年の主流トピックが正面から問われます。
重要なのは、AI-900 は 2026 年 6 月 30 日に退役して受験できなくなった一方で、認定「Azure AI Fundamentals」そのものは退役していないという点です。 Microsoft は認定の裏側にある試験を差し替えただけなので、「概念だけ押さえたい」「Python は分からない」という人にとっての AI-900 という逃げ道はもうありません。この認定を取るルートは Python を含む AI-901 だけです。 すでに AI-900 に合格している人は、取得済みの認定をそのまま保持できます。
AI-901 を理解するためには、まず Microsoft Foundry が何者なのかを押さえる必要があります。 Foundry は 2026 年 1 月の Microsoft Product Terms で正式化された、エンタープライズ向け統合 AI プラットフォームです。 ややこしいのが命名の変遷で、旧 Azure AI Studio → Azure AI Foundry → Microsoft Foundry という 3 段階の改名を経て現在の名称に落ち着いています。 AI-900 で「Azure AI Studio」と書かれていた教材は、すべて「Microsoft Foundry」に読み替える必要があります。
Foundry の本質は 「Azure OpenAI + Cognitive Services + Hub リソース」の統合です。 従来は Azure OpenAI Service・各種 Cognitive Services・Hub リソースなどを別々に作成して連携させる必要がありましたが、Foundry では単一の Foundry リソースからすべてを扱えるようになりました。 モデルカタログには 1,900 以上のモデルが並んでおり、Microsoft 製の Phi-4、OpenAI の GPT-5 / GPT-4.1、Anthropic Claude、xAI Grok、Mistral、DeepSeek-R1、Meta Llama などを統一インターフェースで呼び出せます。
API も大きく進化しました。旧 Assistants API (v0.5 / v1) は Responses API (Agents v2) に置き換わり、SDK は azure-ai-projects 2.x と OpenAI() クライアントの統一に収束しました。 既存の Azure OpenAI リソースは Foundry リソースにアップグレード可能で、エンドポイント・API キー・状態を保ったまま移行できます。
試験対策としては Foundry portal (https://ai.azure.com) を実際に開いて、モデルをデプロイし、Foundry Tools の Azure Speech / Azure Content Understanding を触っておくことが必須です。 画面の構造を知らずに問題文を読むと、選択肢のスクリーンショット風記述 (「Foundry portal のどのタブから何を選ぶか」) で迷います。
本ドメインは Responsible AI 原則、AI モデルコンポーネント、そして AI ワークロードのシナリオ識別の 3 本柱で構成されています。
Microsoft の Responsible AI Standard で定義された 6 原則を、それぞれ「なぜ重要か」「どんな実装上の考慮が必要か」のレベルで説明できるかが問われます。 順番は Fairness (公平性) → Reliability and safety (信頼性と安全性) → Privacy and security (プライバシーとセキュリティ) → Inclusiveness (包括性) → Transparency (透明性) → Accountability (アカウンタビリティ) の 6 つ。 AZ-900 でも 1-2 問は出題されますが、AI-901 ではより深く、シナリオを示して「この場面でどの原則が最も問題になるか」を選ばせる問題が中心になります。
生成 AI モデルの仕組み (Transformer・トークン・コンテキストウィンドウ)、能力に基づくモデル選定、デプロイオプションと構成パラメータ (temperature / top_p / max_tokens など) を理解しているかが問われます。Foundry の Model Garden を実際に開いて、各モデルの特徴 (高速 vs 高精度、コスト) を比較しておくと、実装シナリオ問題に対応しやすくなります。
生成 AI / エージェント AI、テキスト分析 (キーワード抽出・エンティティ検出・感情分析・要約)、音声認識・音声合成、コンピュータビジョン・画像生成、テキスト/画像/音声/動画からの情報抽出。これらのワークロードについて、「このビジネス課題にはどの技術が最適か」「マルチモーダルが必要かどうか」を判断する問題が出ます。AI-900 と内容は近いものの、出題粒度が「具体的な Foundry サービス選定」レベルまで踏み込んでいる点が違います。
配点が最も大きい本ドメインは、Foundry SDK を使った実装スキルの実演です。本ドメインは 4 つのサブ領域に分かれています。
効果的なシステムプロンプトとユーザープロンプトの作成、Foundry portal でのモデルデプロイと対話、Foundry SDK による軽量チャットクライアントの作成、シングルエージェントソリューションの構築とテスト。 プロンプトエンジニアリングは試験対策本ではなく、実際に Foundry portal でプロンプトを変えながら出力を比較した経験が活きる領域です。
テキスト分析を含む軽量アプリの構築、マルチモーダルモデルでの音声プロンプト応答、Foundry Tools の Azure Speech を使った音声アプリの構築。 AI-900 で個別 Speech to Text / Text to Speech / Speech Translation として扱われていたものが、Foundry Tools 配下の Azure Speech に統合されています。
マルチモーダルモデルでの視覚入力解釈、生成モデルによる視覚出力作成、ビジョン機能を含む軽量アプリ構築。旧 Computer Vision API の代わりに、Foundry のマルチモーダルモデル (GPT-4.1 など) を使って画像を入力として解釈するパターンが中心になります。
Azure Content Understanding (Foundry Tools 配下) による文書・フォームからの情報抽出、画像・音声・動画からの情報抽出、Content Understanding を活用した軽量アプリ構築。 旧 Document Intelligence (Form Recognizer) は Content Understanding に統合されたため、古い教材で Form Recognizer を学んでいた場合は読み替えが必須です。
Responsible AI 6 原則は AZ-900 や SC-900 でも問われますが、AI-901 では「順番」と「各原則の考慮事項」がより深く問われます。 覚えやすい順序として F-R-P-I-T-A (Fairness → Reliability → Privacy → Inclusiveness → Transparency → Accountability) を頭文字で記憶しておくと、問題文の選択肢を見るときに迷いません。
各原則の「考慮事項」とは、たとえば Fairness なら「学習データのバイアスが特定のグループに不利に働かないか」、Privacy なら「ユーザーが入力したデータが学習に再利用される可能性」、Accountability なら「AI の判断結果に最終責任を負う人間が誰か」といった具体的な懸念事項のことです。 単に原則名を覚えるだけでは、シナリオベースの選択肢で迷う原因になります。
AI-901 は登場して間もない試験のため、利用可能な公式リソースは AZ-900 ほど豊富ではありませんが、基本セットは揃っています。
| リソース | 役割 |
|---|---|
| 公式 Study Guide | Skills measured PDF。出題範囲を網羅 |
| AI-901T00 公式コース | インストラクター主導講座 (Introduction to AI in Azure) |
| Microsoft Foundry portal | 実機操作の場。試験準備の中核 |
| Exam Sandbox | 本試験 UI のデモ |
| Practice Assessment | Microsoft の通例では GA 後 8 週間以内に提供。提供状況は公式試験ページで確認 |
公式 Practice Assessment がまだ手元にない段階では、サードパーティ問題集に手を出したくなる場面もあるはずです。 ただし AI-901 のような新試験は出題傾向の解析がまだ進んでおらず、不正確な問題集に時間を費やすリスクが高い時期です。 まずは公式 Study Guide と Foundry portal での実機操作に集中し、Practice Assessment が使えるようになったら反復するという二段構えが現実的です。
日本市場で AI 関連認定として認知度が高いのは JDLA の G 検定と E 資格です。AI-901 はこの 2 つと立ち位置が大きく異なります。 G 検定はビジネス活用層向けの概念試験で、年 6 回開催、Python 不要、知名度は国内 SIer や事業会社で依然高い水準を保っています。 AI-901 はビジネス概念だけでなく Azure/Foundry での実装まで踏み込むため、G 検定よりも開発寄り。技術職の評価対象としては AI-901 の方が現場直結性で勝ります。
E 資格はさらに上位で、JDLA 認定講座の修了が受験前提、深層学習の数学・実装まで問う最高難度クラスです。AI-901 は E 資格の領域とは別物で、レベル感としては E 資格 ≫ AI-103 > AI-901 > G 検定 という並びになります。 コンサルや PM 職であれば「G 検定 (ビジネス理解) + AI-901 (Azure 実装)」、機械学習エンジニアであれば「E 資格 + AI-103」という併取が現場で効きます。
AI-901 で基礎を固めた後の標準ルートは、2026 年 6 月に GA した Exam AI-103: Developing AI Apps and Agents on Azure です。 AI-103 は AI-102 (Azure AI Engineer Associate) の後継試験で、AI-102 は 2026 年 6 月 30 日に認定ごと退役しました。 取得できる認定名も新しく Microsoft Certified: Azure AI Apps and Agents Developer Associate に変わり、より「AI アプリ・エージェント開発者」というポジションを明示する名称になりました。
AI-103 では AI-901 で学んだ Foundry SDK が前提知識となり、より高度なプロンプトエンジニアリング、マルチエージェントオーケストレーション、責任ある AI ガバナンスといった上級トピックを扱います。 AI-901 で書いた軽量チャットクライアントが、AI-103 では複数エージェントの協調動作・メモリ管理・ツール利用へと拡張されるイメージです。 AI-102 は 2026 年 6 月 30 日で退役済みのため、これから AI Engineer ルートに進む人は AI-103 一択になります。
AI-901 → AI-103 が AI 開発者ルートですが、別の方向として AZ-104 (Administrator) や DP-700 (Fabric Data Engineer) と組み合わせて、AI 基盤の運用担当やデータパイプライン構築担当を目指す道もあります。 なお、旧 DP-203 (Azure Data Engineer Associate) は 2025 年 3 月 31 日に認定ごと退役済みで、このルートで現在取得するのは Microsoft Certified: Fabric Data Engineer Associate (Exam DP-700: Implementing Data Engineering Solutions Using Microsoft Fabric) です。 Microsoft Foundry がエンタープライズ AI 基盤として広がる流れの中で、「AI モデルを使う側」「AI 基盤を運用する側」「AI 用データを整える側」の三役がそれぞれ独立した認定群を持っているのが現在の Microsoft 認定全体像です。
AI-901 と AI-900 はどちらを受けるべき?
AI-901 一択です。AI-900 は 2026 年 6 月 30 日に退役し、現在は受験できません (予約導線も提供されていません)。重要なのは、退役したのは「試験」だけで、認定「Microsoft Certified: Azure AI Fundamentals」自体は存続している点です。Microsoft は認定を廃止するのではなく、取得要件を AI-900 から AI-901 に差し替えました。したがって、これからこの認定を取る人は AI-901 に合格する必要があります。すでに AI-900 で認定を取得している人は、あらためて AI-901 を受け直す必要はありません。
AI-901 で Python は必須ですか?
はい、AI-900 と最も大きく違うのがここです。AI-901 のドメイン 2 (配点 55-60%) は Microsoft Foundry SDK を使った実装が中心で、軽量チャットクライアントやエージェントを書く問題が含まれます。Python の基本構文 (関数呼び出し・辞書・try/except) と pip install レベルの操作ができることが前提です。AI-900 はコーディング不要の概念中心の試験でしたが、すでに退役して受験できないため、非技術職も Python を含む AI-901 で認定を取る前提になります。
Microsoft Foundry とは何ですか?
Microsoft Foundry は 2026 年 1 月に正式化された統合 AI プラットフォームで、旧 Azure AI Studio → Azure AI Foundry → Microsoft Foundry という改名を経て現在の名称になりました。Azure OpenAI Service、各種 Cognitive Services (現 Foundry Tools)、Hub リソースなどを 1 つに統合し、1,900 以上のモデル (GPT-5/GPT-4.1/Claude/Grok/Mistral/Phi-4/Llama 等) を単一の Foundry リソースから扱えます。AI-901 のドメイン 2 はほぼすべて Foundry 上での実装スキルを問うため、Foundry portal (https://ai.azure.com) を実際に触っておくことが合格の鍵です。
出題ドメインと配点は?
2 ドメイン構成です。Identify AI concepts and capabilities (40-45%) で Responsible AI 6 原則、生成 AI モデルの仕組み、AI ワークロード (テキスト分析・音声・コンピュータビジョン・情報抽出) のシナリオ識別を問います。Implement AI solutions by using Microsoft Foundry (55-60%) で Foundry SDK でのチャットクライアント・エージェント・マルチモーダル・Azure Speech・Azure Content Understanding の実装を問います。
Responsible AI の 6 原則は出題されますか?
はい、ドメイン 1 で各原則の「考慮事項 (considerations)」を説明できることが明示的に問われます。6 原則は Fairness (公平性)・Reliability and safety (信頼性と安全性)・Privacy and security (プライバシーとセキュリティ)・Inclusiveness (包括性)・Transparency (透明性)・Accountability (アカウンタビリティ) の順に並び、それぞれ「なぜ重要か」「どんな実装上の配慮が必要か」を答えられる状態にしておく必要があります。AZ-900 でも出る項目ですが、AI-901 ではより深く問われます。
受験料と試験時間は?
受験料は公式試験ページに「受験する国・地域によって価格が異なる」とのみ記載され、固定価格は公開されていません。金額を確認できるのは Microsoft 公式の AI-901 試験ページで国・地域を選択したときと、Pearson VUE の申込画面だけなので、受験前に必ずそちらで確認してください (本記事では公式に確認できないため金額を記載しません)。問題数と試験時間も公式ページに明示記載がありません。
Practice Assessment はありますか?
GA から 8 週間以内に提供されるのが Microsoft の通例です。AI-901 は 2026 年 6 月に GA 済みのため、公式 Practice Assessment の提供状況は Microsoft Learn の AI-901 試験ページで直接確認してください。あわせて公式コース AI-901T00: Introduction to AI in Azure と学習ガイド PDF が主な教材になります。
次に取るべき認定は?
AI 系で次に進むなら AI-103 (Developing AI Apps and Agents on Azure) が標準ルートです。AI-103 は AI-102 (Azure AI Engineer Associate) の後継で、取得できる認定は Microsoft Certified: Azure AI Apps and Agents Developer Associate。前身の AI-102 は 2026 年 6 月 30 日で退役済みです。プロンプトエンジニアリング、マルチエージェントオーケストレーション、責任ある AI ガバナンスが中心で、AI-901 の SDK スキルがそのまま土台になります。AI-901 → AI-103 がフルスタックな AI 開発者キャリアパスです。
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本記事の用語・配点情報は Microsoft Learn 公式 AI-901 試験ページ および公式 Study Guide に基づいています。 本記事は Microsoft Corporation の公式商品ではなく、いかなる提携・後援関係もありません。 Microsoft、Azure、Microsoft Foundry、Microsoft Entra は Microsoft group of companies の商標です。 AI-901 は 2026 年 6 月に GA しました。出題範囲や試験仕様は変更される可能性があるため、最新情報は必ず公式ページをご確認ください。 情報は 2026 年 5 月 24 日時点。2026 年 8 月 30 日に AI-900 試験の退役 (2026 年 6 月 30 日) と AI-901 の GA を反映しました。
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