クラウド認定の最初の 1 本を選ぶとき、必ず迷うのが「AWS・Azure・GCP のどれから始めるか」です。 3 大クラウドはそれぞれ入門認定 — AWS Cloud Practitioner (CLF-C02)、Microsoft Azure Fundamentals (AZ-900)、Google Cloud Digital Leader (CDL) — を提供しており、どれも 90 分前後・約 $99-100・概念中心という同じスペックです。 本記事では 3 試験を 7 つの軸で完全比較し、自社環境・キャリア目標・市場性から自分に合う最初の 1 本を迷わず選べる状態を目指します。
加えて、3 試験すべてを取得する「マルチクラウド戦略」の現実的価値、Associate 階層への展開ルートの比較、そして 2026 年時点での日本市場の動向まで踏み込みます。 クラウド認定はキャリア投資の中でも ROI が高く、最初の選び方を誤らないことで以降の 5-10 年のキャリア軌道が大きく変わります。
| 項目 | AWS CLF-C02 | Azure AZ-900 | GCP CDL |
|---|---|---|---|
| 正式名称 | AWS Certified Cloud Practitioner | Microsoft Certified: Azure Fundamentals | Cloud Digital Leader |
| 試験時間 | 90 分 | 45 分 | 90 分 |
| 問題数 | 65 問 | 40-60 問 | 50-60 問 |
| 合格点 | 700 / 1000 | 700 / 1000 | 非公開 (体感 70%) |
| 受験料 | $100 USD | $99 USD | $99 USD |
| 有効期限 | 3 年 | 無期限 | 3 年 |
| 日本語対応 | ○ | ○ | ○ |
| 受験プラットフォーム | Pearson VUE / PSI | Pearson VUE | Pearson VUE (2026-02 移行完了) |
スペック面で最大の差は 有効期限。AZ-900 のみ無期限有効で、一度合格すれば再受験不要。AWS CLF と GCP CDL は 3 年有効で更新には再受験が必要 (Microsoft の renewal assessment のような無料更新は無い)。長期コスト面では Azure が最も安く、AWS / GCP は 3 年ごとに $99-100 の追加投資が必要です。
3 試験は同じ「クラウド入門」ですが、力点が異なります。
AWS CLF-C02 は クラウドコンセプト 24% + セキュリティ・コンプライアンス 30% + クラウドテクノロジー 34% + 課金・サポート 12%。 AWS の主要サービス (EC2・S3・RDS・Lambda・VPC・IAM など) を概念レベルで広く問います。AWS Well-Architected Framework の 6 本柱、Shared Responsibility Model、AWS Pricing Calculator の使い方など、AWS 独自のフレームワークが頻出するのが特徴です。
Azure AZ-900 は クラウド概念 25-30% + Azure アーキテクチャとサービス 35-40% + 管理とガバナンス 30-35%。 中央ドメインの比重が大きく、Azure の階層構造 (Management Group → Subscription → Resource Group → Resource)、Region pair・Availability Zone・Availability Set の 3 層構造、Entra ID と Azure RBAC の境界線などがやや構造的な学習を要求します。
GCP CDL は Digital transformation 10% + Data transformation 30% + AI and ML 28% + Infrastructure and application modernization 32%。 他 2 試験と比べてデータと AI の比重が高く、BigQuery・Vertex AI・Gemini といった GCP 独自の強みサービスが中心。Google らしく「データドリブンなビジネス変革」というポジショニングが明確です。
難易度はほぼ同等ですが、体験記から見えてくる微妙な差は以下の通りです。
AWS CLF: 試験時間 90 分・65 問と最も問題数が多いものの、1 問あたり 1.4 分の余裕があるため時間プレッシャーは低い。サービス数の暗記負担はあるが、Well-Architected Framework のような明確な構造があるため整理しやすい。体感難易度: ★★☆☆☆
Azure AZ-900: 試験時間 45 分・40-60 問と最も短く、1 問あたり 1 分以下。時間プレッシャーは中程度。階層構造 (MG→Sub→RG→Resource) と Region pair / AZ / Availability Set の混同が落とし穴。体感難易度: ★★☆☆☆
GCP CDL: 試験時間 90 分・50-60 問で時間に余裕あり。サービス数は他より少ないが、ビジネスシナリオベースで「どのサービスを選ぶか」が問われるため概念暗記だけでは対応困難。体感難易度: ★★★☆☆
日本人合格者の学習時間平均は AWS CLF が 30-50 時間、AZ-900 が 25-40 時間、GCP CDL が 20-40 時間で、未経験者にとってはどれも同じくらいの労力で合格圏に届きます。
求人サイト Indeed Japan の 2026 年 5 月時点データでは、認定別の求人数は以下の通り。
| クラウド | 日本国内求人数 | 強い領域 |
|---|---|---|
| AWS | 約 8,000 件 | SI 企業 / Web サービス / 金融 / 大企業全般 |
| Azure | 約 3,500 件 | SIer / Microsoft パートナー / 製造業 / 公共 |
| Google Cloud | 約 2,000 件 | メガベンチャー / スタートアップ / メディア |
AWS は採用ベースの広さで一歩リード、特に SI 業界では事実上の必須スキル化が進んでいます。 Azure は大企業・SIer・Microsoft パートナー企業で強く、Microsoft 365 採用企業の社内 IT 部門との親和性も高い。 GCP はメルカリ・サイバーエージェント・SmartHR・LayerX・LINE などのメガベンチャー / スタートアップが主軸で、データ職・ML 職の評価が他クラウドより明確に高い傾向。
3 試験とも公式リソースだけで合格可能ですが、学習スタイルの好みで選び方が変わります。
AWS CLF: AWS Skill Builder の無料コース + 有料サブスクリプション ($29/月) + AWS Cloud Quest (ゲーミフィケーション学習)。コミュニティ (Qiita / Zenn) の日本語体験記が 3 クラウドで最も豊富。Udemy の Stephane Maarek 講座など、サードパーティ教材も充実。
Azure AZ-900: Microsoft Learn の無料学習パスが日本語完訳、ハンズオン Lab も無料。Microsoft Virtual Training Day 完走で受験バウチャー無料発行という独自ルートが最大の強み。実質コストゼロで取得可能なのは Azure 認定の最大の魅力です。
GCP CDL: Google Cloud Skills Boost の無料 Learning Path、サブスクリプション ($29/月) で Hands-on Lab と試験バウチャーが入手可能。コミュニティリソースは AWS ほど多くないが、公式コンテンツの完成度は高い。Qwiklabs のシリーズで実機演習ができるのも強み。
2024-2026 年は企業の「マルチクラウド採用」が一般化した時期で、1 つのクラウドだけを扱う SE は少数派になりつつあります。 この時代に取るべきキャリア戦略は 3 通りあります。
1) 1 クラウド深掘り型: 1 つのクラウドで Fundamentals → Associate → Professional / Expert と垂直に進む。例: AWS CLF → SAA → SAP。 専門性が深く、特定クラウドのスペシャリスト求人で強い評価を得られます。SI 企業の AWS 専業エンジニアや、Azure 中心の SIer での AZ-305 保有者などが典型例。
2) マルチクラウド型: 3 つのクラウドの Fundamentals + 1 つの Associate を取得し、横断的な視野を持つ。例: AWS CLF + AZ-900 + GCP CDL + AWS SAA。 コンサルティングファームや SI 企業の上級ポジション、CTO 候補、クラウドアーキテクトロールで差別化要素になります。コンサル系で年収 1,000 万円超の求人を狙うなら、このパターンが王道です。
3) ハイブリッド型: 主力 1 クラウドの Associate + 副次 1 クラウドの Fundamentals。例: AWS SAA + AZ-900。 事業会社の社内 SE や転職活動中の人に最も現実的。実務での主力クラウドを深く、副次クラウドは「使えますレベル」で証明する組み合わせで、転職市場でも幅広く受け入れられます。
3 試験すべて取得した後の Associate 階層への進学先を整理します。
| 役割 | AWS | Azure | GCP |
|---|---|---|---|
| アーキテクト | SAA-C03 | AZ-305 | PCA |
| インフラ管理 | SOA-C02 | AZ-104 | ACE |
| 開発者 | DVA-C02 | AZ-204 (退役) | PCD |
| データエンジニア | DEA-C01 | DP-203 / DP-700 | PDE |
| 機械学習 | MLA-C01 | AI-103 | PMLE (2026-06 新版) |
| セキュリティ | SCS-C02 | SC-200 / SC-300 / SC-500 | PCSE |
Associate 階層は 3 クラウドとも難易度・学習時間がほぼ同等で、すでに 1 つの Associate を取得している人は他クラウドの Associate を 2-4 ヶ月で取得可能というのが標準パターン。 マルチクラウド戦略を取るなら、最初に AWS SAA を取り、その後 Azure AZ-104 → GCP ACE と展開していくのが最も学習効率が高い順序です。
AZ-900 / AWS CLF / GCP CDL のうち、最初に取るべきはどれ?
自社や志望先が採用しているクラウドで選ぶのが第一原則です。日本企業の採用シェアでは AWS が圧倒的に多く、転職を考えるなら AWS CLF から入るのが汎用性高め。社内が Microsoft 365 を全社採用しているなら AZ-900、メガベンチャーやスタートアップ志望なら GCP CDL という棲み分けが現実的です。どれも 90 分前後・$99-100・概念中心という同じスペックで、1 つ取得すれば他クラウドの認定への学習効率は明らかに上がります。
3 試験すべて取る価値はありますか?
クラウドアーキテクト・コンサルタント志望には大きな価値があります。マルチクラウド戦略を語れる人材は希少で、コンサルティングファームや SI 企業の上級ポジションでは『AWS + Azure + GCP の認定保有』が事実上の選定基準になっているケースもあります。一方、専門性を深掘りしたいエンジニアは 1 つに絞って Associate / Professional に進む方が ROI が高い。3 試験合計でも約 300 USD なので、コスト面では Associate 1 本より安いという見方もできます。
3 試験の難易度比較は?
難易度はほぼ同等です。AWS CLF と AZ-900 はほぼ同レベル、GCP CDL がやや難しいというのが業界の通説。GCP CDL は配点比率が中央領域 (データ / 分析 / AI) に偏っており、AWS / Azure の試験よりサービス数の暗記負担が大きい傾向。ただしどれも Fundamentals 階層で、IT 未経験者でも 20-40 時間で合格可能なレベルです。1 つ取得すれば他クラウドの認定への学習時間は半分以下に短縮されます。
受験料と支払い方法の違いは?
AWS Cloud Practitioner (CLF-C02) は $100、Azure Fundamentals (AZ-900) は $99、Google Cloud Digital Leader (CDL) は $99。すべて米ドル建てで、日本円ではレートに応じて 13,000-15,000 円程度。AZ-900 と GCP CDL は Pearson VUE 経由、AWS CLF は Pearson VUE + PSI (デュアル受験プラットフォーム) のどちらでも受験可能。AWS は AWS Skill Builder のサブスクリプション ($29/月) に Practice Exam が含まれ、Azure は Microsoft Virtual Training Day 完走で無料バウチャー、GCP は Cloud Skills Boost ($29/月) で Lab とバウチャーが入手可能というのが特徴の違いです。
学習リソースはどれが充実していますか?
公式コンテンツの量と質では Azure が最も豊富。Microsoft Learn の無料学習パスは日本語完訳、ハンズオン Lab も無料で利用可能。AWS は AWS Skills Builder の無料コースと有料 ($29/月) サブで補強、コミュニティリソース (Qiita / Zenn の日本語体験記) は AWS が圧倒的に多い。GCP は Cloud Skills Boost のサブスクリプションが学習ハブで、無料 Quest と有料 Lab の組み合わせ。3 クラウドとも公式コンテンツだけで合格可能で、独学コストはほぼゼロという点は共通です。
日本市場での認知度はどう違いますか?
求人サイト Indeed Japan の 2026 年 5 月時点データでは『AWS 認定』を含む求人が約 8,000 件、『Azure 認定』が約 3,500 件、『Google Cloud 認定』が約 2,000 件という構成。AWS 認定は採用ベースの広さで一歩リード、Azure は大企業 / SI 企業の評価が高く、GCP はメガベンチャー / スタートアップで強い評価。職務経歴書に書く際は『2026 年 X 月 AWS Certified Cloud Practitioner (CLF-C02) 合格』のように正式英語名称を記載するのが推奨です。
次のステップ (Associate 階層) の比較は?
AWS は Solutions Architect Associate (SAA) が事実上の必修、Azure は Administrator AZ-104 が中核、GCP は Associate Cloud Engineer (ACE) が定番。難易度と学習時間は SAA ≒ AZ-104 ≒ ACE でほぼ同等。受験料は AWS $150、Azure $165、GCP $125 と GCP がやや安い。Architect レベル (AWS SAP / Azure AZ-305 / GCP PCA) になるとどれも 200 USD 以上で、年収 800-1,500 万円帯のシニア職への階段になります。
マルチクラウド時代のキャリア戦略は?
3 つの選択肢があります。1) 1 クラウド深掘り型 (1 つの Architect Expert + 関連 Specialty を集中取得)、2) マルチクラウド型 (3 クラウドの Fundamentals + 1 つの Associate)、3) ハイブリッド型 (主力 1 クラウドの Associate + 副次 1 クラウドの Fundamentals)。実務で 1 クラウドだけを扱うエンジニアは 1) が ROI 高め。コンサルタントや SI 企業の SE は 2) が差別化要素。事業会社の社内 SE は 3) が現実的です。
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本記事の試験情報は Microsoft Learn、AWS Certification 公式ページ、Google Cloud Certification に基づいています。 Microsoft、Azure は Microsoft Corporation の商標、Amazon、AWS は Amazon.com, Inc. の商標、Google、Google Cloud は Google LLC の商標です。 本記事はいずれのクラウドベンダーの公式商品でもなく、いかなる提携・後援関係もありません。 情報は 2026 年 5 月 24 日時点の公式公開資料に基づきます。最新情報は必ず公式ページをご確認ください。
NicheeLab編集部
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