Microsoft Certified: Microsoft 365 Fundamentals (MS-900) は、Microsoft 365 (旧 Office 365) の SaaS 製品群を横断的に学ぶ Fundamentals 階層の試験です。 AZ-900 が Azure (IaaS/PaaS) 中心、DP-900 がデータ系、SC-900 がセキュリティ系の入口だとすれば、MS-900 は クラウド SaaS の入口と言える試験で、Teams・Exchange・SharePoint・OneDrive・Intune・Microsoft 365 Copilot といった日常業務で触れる SaaS 製品の機能比較とライセンス選定が中心です。 本記事では、出題ドメインの中身、ライセンス SKU の使い分け、Copilot の出題対応、合格ロードマップまで一本で整理します。
MS-900 のもう一つの特徴は、IT 営業職・SaaS 営業職・コンサルタント・購買担当にも最適化されている点。 Microsoft パートナー企業や SI 企業の営業 / SE では「クラウド時代の名刺代わり」として AZ-900 と並んで標準取得が推奨されており、技術的な深掘りよりビジネス価値とライセンス選定に重点が置かれている点が、他の Fundamentals 試験との大きな違いです。
MS-900 の試験仕様は AZ-900 / DP-900 / SC-900 と同等です。45 分・40 ~ 60 問、合格点 700 / 1000、99 USD / 13,200 円、日本語含む 13 言語対応、無期限有効。 Pearson VUE 経由で OnVUE またはテストセンターで受験可能、コーディング不要。
最も配点比率の低い導入ドメインで、AZ-900 と重複する基礎概念を扱います。SaaS・PaaS・IaaS の使い分け、Public / Private / Hybrid クラウドモデル、Capex と Opex の対比、責任共有モデルなどが概念レベルで問われます。 AZ-900 取得済みであれば、本ドメインの追加学習はほぼ不要です。
配点比率が最大のドメインで、Microsoft 365 の主要 SaaS 群を網羅します。 覚えるべきサービスは大きく分けて 6 カテゴリです。
1) 生産性アプリ (Productivity Apps): Word・Excel・PowerPoint・OneNote・Outlook・Forms。 Microsoft 365 Apps (旧 Office 365 ProPlus、ローカルインストール版) と Web 版の違い、Microsoft 365 Copilot 統合機能の概念が問われます。
2) コラボレーション (Collaboration): Microsoft Teams (チャット・会議・通話)、SharePoint Online (チームサイト・ポータル)、OneDrive (個人ストレージ)、Loop (共同編集キャンバス)、Viva (従業員エクスペリエンス)。 Teams は本試験で特に重要度が高く、チャネル・タブ・アプリ統合・Live Events・Town Hall などの代表機能が頻出します。
3) メール / カレンダー: Exchange Online (メール基盤)、Outlook (クライアント)、Exchange Online Protection (EOP、迷惑メール対策)。 Exchange Online は Microsoft 365 のメール基盤で、Outlook はそれを使うクライアント、という関係を区別できる必要があります。
4) Microsoft 365 Copilot: 2024 年以降の改訂で明示的に出題範囲入り。Word / Excel / PowerPoint / Outlook / Teams の各統合機能、Microsoft Graph による組織データの参照、Copilot Studio (旧 Power Virtual Agents) によるカスタムエージェント構築、Copilot ライセンス (月額 30 USD / ユーザー) の位置付けが頻出。 Copilot は近年 MS-900 の差別化要素として特に重要度が増しており、確実に押さえておきたい領域です。
5) デバイス管理: Microsoft Intune (旧 Endpoint Manager) によるモバイルデバイス管理 (MDM) とモバイルアプリ管理 (MAM)。 BYOD 対応、Conditional Access との連携、Autopilot による Windows 11 自動セットアップなどが代表機能。
6) Power Platform 統合: Power BI (BI)、Power Apps (ローコードアプリ)、Power Automate (RPA・ワークフロー)、Power Pages (Web サイト)。Microsoft 365 と Azure を繋ぐ統合プラットフォームとして概念レベルで問われます。
SC-900 と一部重複するドメインで、Microsoft 365 の文脈でセキュリティとコンプライアンスを扱います。 中心は Microsoft Entra ID (Microsoft 365 の認証基盤)、Microsoft Defender for Office 365 (メール / Teams / SharePoint のフィッシング保護)、Microsoft Defender for Cloud Apps (SaaS CASB)、Microsoft Purview (機密ラベル・DLP・Insider Risk・eDiscovery)。
本ドメインで頻出するのが Service Trust Portal (Microsoft のコンプライアンス文書リポジトリ、SOC 2・ISO 27001・GDPR 対応資料が無料ダウンロード可能)、Compliance Manager (規制対応の進捗ダッシュボード)、Privacy by Design の原則。 加えて Microsoft の責任ある AI 原則、Microsoft Cloud 上の EU Data Boundary (EU データの域内保持) などの近年トピックも出題対象です。
Microsoft 365 のライセンス SKU を理解するドメインで、営業職・購買担当には特に重要です。 主要 4 ファミリーを覚えれば十分です。
| ファミリー | 対象 | 主要 SKU |
|---|---|---|
| Business | 中小企業 (ユーザー数 300 以下) | Basic / Standard / Premium / Apps |
| Enterprise | 大企業 (無制限) | E3 / E5 / F3 |
| Frontline | 現場ワーカー | F1 / F3 |
| Education | 教育機関 (学校 / 大学) | A1 / A3 / A5 |
頻出するのが 「E3 と E5 の違い」。E5 は E3 に加えて Microsoft Defender XDR・Microsoft Purview Premium・Power BI Pro・Microsoft Teams Phone など上位機能を含み、月額単価が約 2 倍。 加えて Microsoft 365 Copilot ライセンス (+30 USD) は既存 SKU への上乗せで購入する形式で、E3 / E5 / Business Premium のいずれかへのアドオンが必要。 サポートプラン (Standard / Professional Direct / Unified Enterprise) とライフサイクル (Modern Lifecycle / Fixed Lifecycle Policy) も概念レベルで問われます。
MS-900 も Microsoft 公式リソースだけで合格可能です。 Microsoft Learn の MS-900 学習パス、Virtual Training Day: Microsoft 365 Fundamentals 経由の無料バウチャー、公式 Practice Assessment の 3 つで完結します。 すでに Microsoft 365 を業務で使っている社会人なら、最短 1-2 週間での合格も現実的です。
Week 1 はドメイン 1 + 2 前半 (Teams / Exchange / SharePoint) を Microsoft Learn で消化。Week 2 はドメイン 2 後半 (Copilot / Intune / Power Platform) と Virtual Training Day Part 1。Week 3 はドメイン 3 (セキュリティ / コンプライアンス) と Virtual Training Day Part 2 でバウチャー獲得。Week 4 はドメイン 4 (ライセンス) と Practice Assessment 80% 反復で仕上げ。 ライセンス SKU の暗記は Microsoft 公式の「Modern Workplace Bundle Comparison」ページを印刷して机に貼っておくのが定番です。
MS-900 は Microsoft 365 認定群の入口です。Microsoft 365 管理者を志すなら MS-102 (Microsoft 365 Administrator Expert) が本命。Entra ID 管理・Exchange / Teams 管理・セキュリティ運用を統合的に問います。Teams 専門なら MS-721 (Collaboration Communications Systems Engineer Associate) で電話システム / 会議室設備の専門認定。Endpoint 管理なら MD-102 (Endpoint Administrator Associate) で Intune / Autopilot / Windows 11 管理。Microsoft 365 セキュリティなら SC-401 (Information Security Administrator Associate、旧 MS-500 後継)。 コンサル / 営業職を続ける場合は AZ-900 + SC-900 + MS-900 の三本柱を取得し「Microsoft クラウド全般を語れる」ポジショニングを取るのが推奨パスです。
MS-900 はどんな試験ですか?
Microsoft Certified: Microsoft 365 Fundamentals (MS-900) は、Microsoft 365 (旧 Office 365) の SaaS 群を横断的に学ぶ Fundamentals 試験です。45 分・40-60 問・99 USD・700/1000 点合格・無期限有効・日本語含む 13 言語対応。Azure や AI ではなく、Teams・Exchange・SharePoint・OneDrive・Intune・Microsoft 365 Copilot など SaaS 製品群が中心の試験で、IT 営業職・SaaS 営業職・コンサルタント・購買担当に最適化されています。
AZ-900 と MS-900 は何が違いますか?
対象とする領域が違います。AZ-900 は Azure (IaaS/PaaS) 中心、MS-900 は Microsoft 365 SaaS 中心。AZ-900 では VM・VNet・Storage Account など IT インフラの概念が出ますが、MS-900 ではメール (Exchange)・チャット (Teams)・ファイル共有 (OneDrive/SharePoint)・モバイル管理 (Intune) など SaaS 製品の機能比較とライセンス選定が中心。両方の試験で重複するのは Entra ID と Microsoft Purview のごく一部のみで、ほとんど独立した試験範囲です。
出題ドメインと配点は?
4 ドメイン構成です。Describe cloud concepts (5-10%) でクラウドサービスモデルの基礎 (AZ-900 と重複)。Describe Microsoft 365 apps and services (45-50%) で Teams・Exchange・SharePoint・OneDrive・Loop・Viva・Stream・Copilot などの主要機能。Describe security, compliance, privacy, and trust in Microsoft 365 (25-30%) で Entra ID・Defender for Office 365・Purview の M365 連携。Describe Microsoft 365 pricing, licensing, support, and lifecycle (10-15%) で Business / Enterprise / Frontline / Education SKU の使い分け、Microsoft 365 Copilot ライセンス、ライフサイクル管理。
Microsoft 365 Copilot は出題されますか?
はい、2024 年以降の改訂で Microsoft 365 Copilot が明示的に出題範囲入りしました。Copilot for Word / Excel / PowerPoint / Outlook / Teams の各統合機能、Copilot Studio (旧 Power Virtual Agents) によるカスタムエージェント構築、Copilot ライセンス (月額 30 USD / ユーザー、Microsoft 365 E3/E5 等への上乗せ) の位置付けなどが問われます。深い実装ではなく、ビジネス価値とライセンス選定のレベルでの理解で十分です。Microsoft 365 Copilot は本試験の差別化要素として近年特に重要度が増しています。
営業職にも価値ある試験ですか?
むしろ営業職・SaaS コンサル・購買担当には最も価値があります。MS-900 は技術的な深掘りではなくライセンス選定とビジネス価値が中心で、顧客先での Microsoft 365 提案・契約交渉・社内導入推進に直結します。Microsoft パートナー企業の営業職や、Microsoft 365 を扱う SI 企業の SE 兼営業ポジションでは、AZ-900 と並ぶ「クラウド時代の名刺代わり」として標準的に取得が推奨されています。Microsoft の社内資格制度でも MS-900 はパートナー認定の前提条件として組み込まれています。
受験料と学習時間は?
99 USD / 13,200 円(税込)、Microsoft Virtual Training Day: Microsoft 365 Fundamentals の Part 1 + Part 2 完走で受験バウチャー (約 165 USD 相当) が無料発行されます。学習時間は IT 未経験者で 20-30 時間、Microsoft 365 を業務で使っている人で 10-20 時間、SaaS 営業職経験者で 5-15 時間が平均レンジ。すでに Outlook・Teams・SharePoint を日常的に使っている社会人なら、最も短時間で合格できる Microsoft 認定の 1 つです。
Microsoft 365 のライセンスは何種類覚えればいい?
主要 4 ファミリー × 各 2-3 SKU を覚えれば十分です。Business Basic / Standard / Premium (中小企業向け、ユーザー数 300 以下)、Enterprise E3 / E5 / F3 (大企業向け、無制限)、Frontline F1 / F3 (現場ワーカー向け、廉価)、Education A1 / A3 / A5 (教育機関向け)。加えて Microsoft 365 Copilot ライセンス (+30 USD)、Microsoft Teams 単独ライセンスなど。Premium と E3 の違い、E3 と E5 の違い (E5 は Defender XDR と Purview Premium 等を含む) は頻出ポイントです。
MS-900 の次に取るべき認定は?
進路により分かれます。Microsoft 365 管理者を志すなら MS-102 (Microsoft 365 Administrator Expert)、Teams 専門なら MS-721 (Collaboration Communications Systems Engineer Associate)、Endpoint 管理なら MD-102 (Endpoint Administrator Associate)、Microsoft 365 セキュリティなら SC-401 (Information Security Administrator Associate、旧 MS-500 後継) というのが標準ルート。コンサル・営業職を続ける場合は AZ-900 + SC-900 を併取して『Microsoft クラウド全般を語れる』ポジショニングを取るのが推奨パスです。
関連記事・試験情報
SC-900 完全ガイド|Microsoft Security, Compliance, and Identity Fundamentals 出題範囲・学習リソース・合格戦略
Microsoft Certified: Security, Compliance, and Identity Fundamentals (SC-900) の完全ガイド。Zero Trust・Microsoft Entra・Defender スイート・Purview の出題範囲、無料 Virtual Training Day バウチャー、4 週間合格ロードマップ、SC-200 / SC-300 / SC-500 / SC-100 へのキャリアパスを日本語で網羅。
MS-102 完全ガイド|Microsoft 365 Administrator Expert 出題範囲・学習リソース・合格戦略【2026 年版】
Microsoft Certified: Microsoft 365 Administrator Expert (MS-102) の完全ガイド。4 ドメインの出題範囲、テナント / Entra ID / Defender XDR / Purview を横断的にカバー、SC-300 / SC-200 との重複と差異、Microsoft 365 Developer Program 活用法、3-4 ヶ月の合格ロードマップ、SC-100 / MD-102 への展開ルートを日本語で網羅。
DP-900 完全ガイド|Azure Data Fundamentals 出題範囲・学習リソース・合格戦略【2026 年版】
Microsoft Azure Data Fundamentals (DP-900) の完全ガイド。4 ドメインの出題範囲、SQL / NoSQL / 分析ワークロードの位置付け、Microsoft Fabric 出題対応、無料 Virtual Training Day バウチャー、4 週間合格ロードマップ、DP-203 / DP-700 / DP-300 へのキャリアパスを日本語で網羅。
Microsoft 365 / Modern Workplace エンジニア キャリアロードマップ|MS-900 → MS-102 → アーキテクトへの道【2026 年版】
Microsoft 365 / Modern Workplace エンジニアになるための認定取得ロードマップ完全版。MS-900 → MS-102 (Expert) の王道ルート、MD-102 / SC-300 / SC-400 / MS-700 / PL シリーズとの組み合わせ、Microsoft 365 Developer Program 活用法、8-12 ヶ月の学習プラン、年収レンジまで日本語で網羅。
本記事の試験情報は Microsoft Learn 公式 MS-900 ページ および公式 Study Guide に基づいています。 本記事は Microsoft Corporation の公式商品ではなく、いかなる提携・後援関係もありません。 Microsoft、Microsoft 365、Microsoft Teams、SharePoint、OneDrive、Exchange、Outlook、Microsoft Intune、Microsoft Copilot は Microsoft group of companies の商標です。 情報は 2026 年 5 月 24 日時点の公式公開資料に基づきます。最新情報は必ず公式ページをご確認ください。
NicheeLab編集部
データエンジニアリング・クラウド資格の専門家。Databricks・Snowflake等の認定資格を保有し、実務経験に基づいた問題作成・解説を行っています。NicheeLab運営。
AZ-900 完全ガイド|Microsoft Azure Fundamentals 出題範囲・学習リソース・合格戦略
Microsoft Azure Fundamentals (AZ-900) の 2026 年 1 月 14 日改訂版に対...
Azure 認定資格ロードマップ 2026 完全版|全 26 試験の体系と大型再編 (AI-901/AI-103/SC-500)
Microsoft Azure 認定資格 全 26 試験 (現行 23 + 退役 3) の 2026 年版ロードマップ。...
AI-901 完全ガイド|Azure AI Fundamentals 新試験
Microsoft Certified: Azure AI Fundamentals (AI-901) の出題範囲・Mi...
Microsoft Entra ID 入門|旧 Azure AD から学ぶ ID 管理 (AZ-900/SC-900/AZ-104 必須知識)
Microsoft Entra ID (旧 Azure Active Directory) の入門解説。2023 年 7...
DP-900 完全ガイド|Azure Data Fundamentals 出題範囲・学習リソース・合格戦略
Microsoft Azure Data Fundamentals (DP-900) の完全ガイド。4 ドメインの出題範...