第 6 章 ストレージを実装して管理する(15〜20%)

Azure Files と Azure Blob Storage

この章で学ぶこと

  • Azure Files でファイル共有を作成して構成する
  • Azure Blob Storage でコンテナーを作成して構成する
  • ストレージ層を構成する
  • BLOB とコンテナーの論理的な削除を構成する
  • Azure Files のスナップショットと論理的な削除を構成する

この章に出てくる用語

Azure Blob Storage
大きさも形も決まっていないデータを、名前を付けて置いておくためのサービス。 BLOB は Binary Large Object の略。フォルダー階層を持つファイルシステムではなく、「コンテナー」という入れ物の中に、名前でファイルを出し入れする作りになっている。画像・動画・ログ・バックアップなど、置いて取り出すだけの用途に向く。
Azure Files
Windows の共有フォルダーと同じ使い勝手の、クラウド上のファイル共有。 SMB や NFS でマウントできるので、既存のアプリケーションからはネットワークドライブとしてそのまま見える。Blob と違い、フォルダー階層があり、複数のサーバーから同時にマウントできる。ファイルサーバーの置き換えに使う。

Blob Storage は、ストレージアカウントの中にコンテナーを作り、その中に BLOB を置く。コンテナーにはパブリックアクセスレベルがあり、3 段階から選ぶ。

レベル匿名で何ができるか
プライベート(既定)匿名アクセス不可。認可が必要
BLOBBLOB を名前で指定すれば匿名で読める。一覧はできない
コンテナーBLOB の一覧も匿名で読める

BLOB そのものにも 3 種類ある。使い分けは用途で決まる。

種類用途特記
ブロック BLOB文書・画像・動画など一般的なファイルアクセス層を設定できるのはこれだけ
追加 BLOBログのように末尾へ追記していく用途途中の書き換えには向かない
ページ BLOBランダムな読み書きアンマネージドディスクの実体

アクセス層は「置いておく値段」と「出すときの値段・速さ」のトレードオフだ。安く置ける層ほど、最低限置いておかなければならない期間が長くなる。

図 6-1 4 つのアクセス層
図 6-1 4 つのアクセス層
ホットクールコールドアーカイブ
オンライン / オフラインオンラインオンラインオンラインオフライン
最小保持期間なし30 日90 日180 日
取り出しの待ち時間ミリ秒ミリ秒ミリ秒最大 15 時間
既定アクセス層に設定できるできるできるできない
使える冗長性すべてすべてすべてLRS / GRS / RA-GRS のみ

試験では

クールが 30 日、コールドが 90 日。 名前が似ているので取り違えやすい。「めったに読まないが、読むときはすぐ欲しい」ならコールド、「読まない。待てる」ならアーカイブ。

アーカイブ層の BLOB を読むには、オンライン層に戻すリハイドレートが必要で、優先度は標準と高の 2 つ。標準で最大 15 時間かかる。

試験では

最小保持期間より前に削除・上書き・層の移動をすると、早期削除ペナルティとして残り日数分が日割りで課金される。「アーカイブに入れてすぐ消したのに課金された」の理由はこれ。

「最終更新から 30 日でクールへ、90 日でアーカイブへ、365 日で削除」といったルールを自動で実行する機能。手で層を移す必要がなくなる。

図 6-2 ライフサイクル管理は下りの一方通行
図 6-2 ライフサイクル管理は下りの一方通行

試験では

ライフサイクル管理ではリハイドレート(アーカイブからの復帰)はできない。下げる方向にしか動かせない。対象はブロック BLOB と追加 BLOB で、ページ BLOB は対象外。

名前が似た機能が並ぶので、何を守るのかで整理する。

図 6-3 保護機能と守る対象
図 6-3 保護機能と守る対象
機能守る対象既定
BLOB の論理的な削除削除・上書きされた BLOB、スナップショット、バージョン無効(1〜365 日で設定)
コンテナーの論理的な削除削除されたコンテナーそのもの無効(別に有効化する)
BLOB のバージョン管理上書き前の状態を自動で保持無効
スナップショットある時点の状態を手動で作成—

試験では

BLOB の論理的な削除では、削除されたコンテナーは復元できない。 コンテナーを守りたければ「コンテナーの論理的な削除」を別に有効にする。ここが最も定番の引っかけ。

試験では

バージョン管理は自動、スナップショットは手動。「意識せずに上書き前の状態を残したい」ならバージョン管理、「このタイミングの状態を取っておきたい」ならスナップショット。

補足

論理的な削除の保持期間は 1〜365 日で指定でき、推奨される最小は 7 日。バージョン管理を有効にするとバージョンが増え続けてコストになるので、ライフサイクル管理で古いバージョンを整理するのがセットで使われる。

Azure Files は SMB / NFS でマウントできるマネージドなファイル共有だ。Blob と違い、既存のアプリケーションからネットワークドライブとして見える。

スナップショットと論理的な削除

ファイル共有のスナップショットは、共有全体のある時点の読み取り専用コピーで、増分で保存されるため容量効率がよい。論理的な削除も用意されている。

試験では

Azure Files の論理的な削除が守るのはファイル共有そのものであって、共有の中の個々のファイルではない。「誤って消したファイルを戻したい」→ スナップショットから復元する。

Azure File Sync

オンプレミスの Windows ファイルサーバーと Azure Files を同期し、オンプレ側をキャッシュとして使える機能。

図 6-4 Azure File Sync とクラウド階層化
図 6-4 Azure File Sync とクラウド階層化

試験では

「オンプレのファイルサーバーの容量を減らしたい」→ クラウド階層化。使用頻度の低いファイルの実体をクラウドだけに置き、オンプレにはポインターだけを残す。利用者から見え方は変わらない。

大きなファイル共有

ファイル共有の上限を 100 TiB まで拡張する設定。

試験では

大きなファイル共有を有効にすると、そのストレージアカウントは GRS / GZRS に変換できなくなる。「容量を増やしたら geo 冗長にできなくなった」という筋書きの原因。

# コンテナーを作る
az storage container create --name data \
  --account-name <名前> --public-access off
# BLOB のアクセス層を変える
az storage blob set-tier --tier Cool \
  --container-name data --name file.txt
# ファイル共有を作る
az storage share-rm create --name share1 \
  --storage-account <名前> --quota 1024

この章のまとめ

  1. アクセス層を設定できる BLOB の種類
  2. クール層の最小保持期間
  3. コールド層の最小保持期間
  4. アーカイブ層の最小保持期間
  5. アーカイブのリハイドレートにかかる最大時間
  6. アカウントの既定アクセス層に設定できない層

この章の根拠

試験 AZ-104 の学習ガイド(Microsoft Learn)

最終確認 2026-10-04 / 対応バージョン DEA 2026-05-04 改訂版