第 0 部 第 3 章 読了目安 5 分

どこに置かれるのか

借りたサーバーは、どこかの建物の中にある本物のコンピューターです。その場所が、速さと「どこまでの故障に耐えるか」を決めます。

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第 0 部の全 8 章はそのまま読めます。資格の話は出てきません。

この章で学ぶこと

  • 借りたコンピューターが実際にどこにあるか分かる
  • 場所を選ぶときに何を見ればよいか説明できる
  • 距離が速さと法律の両方に効くことが分かる
  • どこまで離すかで耐えられる故障が変わると分かる

この章に出てくる用語

リージョン
クラウドの提供元が「ここに置けます」と示している地域の単位。東京、大阪、北部バージニアのように都市や州で区切られます。借りるときに必ずどれか 1 つを選び、あとから別の地域へ動かすことは基本的にできません。
可用性ゾーン
1 つのリージョンの中で、電源も回線も建物も分けてある区画のこと。同じリージョンの中なので距離は近く通信は速いまま、片方の建物が落ちてももう片方は生き残る、という分け方です。
遅延(レイテンシ)
求めてから返ってくるまでにかかる時間のこと。距離が遠いほど長くなります。光が通る速さに上限があるため、どれだけ高性能なコンピューターを使っても距離ぶんの時間は縮みません。
ラック
データセンターの中でサーバーを縦に並べて収める棚のこと。1 つのラックは電源やネットワークの機器を共有しています。そのため、ラック単位でまとめて落ちることがあります。置き方を考えるときの最小の単位です。

3-1 実際にはどこにあるのか

画面の操作だけで数分後に使えるので忘れがちですが、借りたコンピューターは本物です。どこかのデータセンターの中の、どれかのラックに収まったサーバーの上で、仮想マシンとして動いています。

そのデータセンターは世界中にあります。提供元は「ここに置けます」という地域をいくつも用意していて、これをリージョンと呼びます。日本にも複数あり、東京と大阪が代表的です。

借りるときには、必ずどれか 1 つのリージョンを選びます。これは最初に決める項目で、あとから別の地域へ動かすことは基本的にできません。移したければ、新しい地域で作り直して中身を移すことになります。

選ばされていることに気づかない

申し込みの画面では、たいてい最初から 1 つのリージョンが選ばれた状態になっています。そのまま進むと、意図しない地域に置かれたまま使い続けることになります。最初に必ず確認する項目だと覚えておいてください。

確認 — 穴あけ 1 問

0 / 1

空欄を押すと選択肢が出ます。間違えても減点はありません。

クラウドの提供元が示す「ここに置けます」という地域の単位を と呼ぶ。

3-2 距離が決めること

どのリージョンを選ぶかで、3 つのことが決まります。

速さ

遠いほど、求めてから返ってくるまでの時間が長くなります。これを遅延と呼びます。光が通る速さには上限があるので、どれだけ高性能なコンピューターを使っても、距離ぶんの時間は縮みません。日本の利用者が多いなら、日本のリージョンを選ぶのが基本です。

法律と社内の決まり

個人情報や取引の記録を国外に出してはいけない、という決まりがある場合があります。これは速さと違って、交渉の余地がありません。置ける場所が先に決まってしまう要因です。

値段

同じものを借りても、リージョンによって料金が違います。電気代や土地代が反映されるためです。安い地域を選ぶという判断はありますが、遅延と法律のほうが優先されることがほとんどです。

迷ったら、利用者に近いところ

法律の制約が無いなら、使う人がいちばん多い場所に近いリージョンを選べば大きく外しません。値段の差より、遅延の差のほうが体感に出やすいからです。

確認 — 穴あけ 1 問

0 / 1

空欄を押すと選択肢が出ます。間違えても減点はありません。

距離が遠いほど長くなり、高性能なコンピューターを使っても縮まないものを と呼ぶ。

3-3 どこまで離すか

もう 1 つ、場所には「どこまで離すか」という話があります。コンピューターは壊れますし、建物ごと停電することもあります。どこまで離して置いてあるかで、耐えられる故障の範囲が変わります。

どこまで離すか耐えられること耐えられないこと
同じラックの中1 台の故障ラックの電源が落ちる
同じ建物の別のラックラックごとの停電建物ごとの停電・火災
別の建物(可用性ゾーン)建物ごとの障害地域全体の災害
別の地域(リージョン)地域全体の災害—

表 3-1 離すほど強くなり、そのぶん遠くなる

1 つのリージョンの中で、電源も回線も建物も分けてある区画を可用性ゾーンと呼びます。同じ地域の中なので距離は近いまま、片方の建物が落ちてももう片方は生き残ります。速さと強さの折り合いがつくところです。

離すほど強くなりますが、そのぶん遠くなり、通信にかかる時間も料金も増えます。どこまで必要かは、止まったときに何が困るかで決まります。

この表は第 6 章でもう一度出てきます

ここでは「離すほど強い」という形だけ押さえてください。実際にどう配置するかは、第 6 章「壊れる前提で考える」で扱います。

確認 — 穴あけ 2 問

0 / 2

空欄を押すと選択肢が出ます。間違えても減点はありません。

1 つのリージョンの中で、電源も回線も建物も分けてある区画を と呼ぶ。

同じ建物の中で別のラックに分けて置いたとき、耐えられないのは である。

この章のまとめ

  1. 借りたコンピューターは本物で、どこかのデータセンターの中にある
  2. 地域の単位がリージョン。あとから別の地域へは動かせない
  3. 場所で決まるのは、速さ(遅延)と法律と値段の 3 つ
  4. 遅延は距離で決まり、性能では縮まない
  5. 離すほど強くなり、そのぶん遠く高くなる

この章で扱わなかったこと

リージョン名の暗記 / 各社のゾーン構成の違い / SLA の数字

これらは資格の範囲に入ってから扱います(可用性の章)。

この章の根拠

リージョンとアベイラビリティーゾーン(AWS)可用性ゾーンとは(Microsoft Learn)

最終確認 2026-10-04 / 対応バージョン DEA 2026-05-04 改訂版