第 12 章 コストを最適化したアーキテクチャの設計(20%)

コンピューティングのコスト

この章で学ぶこと

  • AWS の購入オプション(スポットインスタンス、リザーブドインスタンス、Savings Plans)
  • 分散コンピューティングの戦略(エッジ処理)
  • ハイブリッドのコンピューティングオプション(Outposts、Snowball Edge)
  • インスタンスのタイプ・ファミリー・サイズ(メモリ最適化、コンピューティング最適化、仮想化)
  • コンピューティング使用率の最適化(コンテナ、サーバーレス、マイクロサービス)

この章に出てくる用語

スポットインスタンス
AWS の余っている容量を、安く借りる仕組み。 最大で 9 割ほど安くなるが、容量が必要になったら 2 分前の通知で止められる。止まって困らない処理に限って使う。複数のインスタンスタイプ・複数の AZ を候補にしておくと、中断されにくくなる。

同じインスタンスでも、買い方を変えるだけで値段が変わる。判断の軸は「どれだけ約束できるか」と「中断されても平気か」だ。

図 12-1 4 つの購入オプション
図 12-1 4 つの購入オプション
買い方約束すること安さ向く場面
オンデマンド何も約束しない基準読めない負荷・短期・検証
Savings Plans1 年か 3 年、一定額を使うと約束大きく下がる使い続けるのは確実だが、何を使うかは変わるかもしれない
リザーブドインスタンス1 年か 3 年、特定の条件で使うと約束大きく下がる構成が固定された本番(容量の予約もできる)
スポットインスタンス空きがあるときだけ借りる最も安い(最大 9 割引)中断されても平気な処理

Savings Plans とリザーブドインスタンスは似ているが、縛りの形が違う。

Savings Plansリザーブドインスタンス
約束の単位1 時間あたりの金額インスタンスの条件(タイプ・リージョンなど)
柔軟さCompute タイプならリージョンもファミリーも自由。Fargate・Lambda にも効く標準 RI は変更できない/コンバーティブル RI は交換できる
容量の予約できないゾーン指定の RI ならできる

試験では

「容量を確実に確保したい」はリザーブドインスタンス(ゾーン指定)かオンデマンドキャパシティ予約。Savings Plans は割引だけで容量は押さえない。ここを取り違えた選択肢が出る。

補足

Compute Savings Plans は Fargate と Lambda にも効く。「コンテナやサーバーレスに寄せたが、割引も効かせたい」という要件で出てくる。EC2 Instance Savings Plans は対象が EC2 に限られるぶん割引率が高い。

図 12-2 スポットが使える処理・使えない処理
図 12-2 スポットが使える処理・使えない処理
使える使えない
バッチ処理・データ処理(やり直せる)データベース(止まると壊れる)
CI / CD のビルド状態を持つサーバー(セッションが消える)
機械学習の学習(チェックポイントを取る)常に一定の台数が要る本番の中核
ステートレスな Web の一部(ASG で混ぜる)ライセンスで固定が必要なもの

補足

ASG ではオンデマンドとスポットを混ぜられる。「最低 N 台はオンデマンド、増える分はスポット」と書けば、安くしつつ、中断されても最低限は残る。コストと可用性を両立させたい設問での定番の答え。

Dedicated HostDedicated Instance
何を専有するか物理サーバーそのものハードウェアは専有だが、物理サーバーは意識しない
ソケット・コアが見えるか見える見えない
向く場面ソケット単位・コア単位のライセンス持ち込み(BYOL)他社と同居したくないだけのとき
費用最も高い高い

試験では

「既存の Windows / Oracle のライセンスを持ち込みたい」は Dedicated Host。ライセンスが物理コア数で数えられるため、物理サーバーが見えないと持ち込めない。

買い方の次に効くのが適正化(right sizing)だ。多くの環境では、使われていない余裕に払っている。

図 12-3 適正化の手順
図 12-3 適正化の手順
  1. 測る ―― CloudWatch の指標と AWS Compute Optimizer で使用率を見る。
  2. 落とす ―― 使用率が低いインスタンスを 1 段小さくする。
  3. 世代を上げる ―― 新しい世代のほうが安くて速いことが多い。
  4. Graviton(ARM)を検討する ―― 同等の性能でより安いことが多い。対応していないソフトもあるので、動作確認は要る。

試験では

「コストを下げたいが性能は落としたくない」には、新しい世代への移行と Graviton がよく効く。単純に小さくする選択肢だけでなく、この方向も見る。

手効く場面注意
夜間・休日に止める(スケジュール)開発・検証環境ASG のスケジュールか Instance Scheduler で自動化
ハイバネート起動に時間がかかるが使う時間は短いメモリを EBS に保存するので EBS 料金は続く
サーバーレスに寄せる使用量に大きな波がある待っている時間に課金されない
Auto Scaling で下限を下げる夜間のアクセスが少ない最小台数を見直す

補足

EC2 を停止しても EBS の課金は続く。「止めたのに請求が減らない」という設問の定番で、完全に止めたいなら削除(スナップショットを取ってから)になる。

選択肢コストの観点での意味
AWS Outpostsデータを出せない要件を満たしつつ AWS の運用に寄せる。安くはならない
AWS Snowball Edge現地で処理して、結果だけ送る。転送料と時間を減らす
エッジでの処理送るデータ量そのものを減らす(IoT など)
図 12-4 要件の語からコンピューティングのコスト対策を決める
図 12-4 要件の語からコンピューティングのコスト対策を決める
問題文に出る語答えの方向
1 年以上使い続けるのは確実Savings Plans
構成が固定・容量も確保したいリザーブドインスタンス(ゾーン指定)
Fargate や Lambda にも割引を効かせたいCompute Savings Plans
中断されても平気なバッチスポットインスタンス
安くしたいが最低限は残したいASG でオンデマンドとスポットを混ぜる
Windows / Oracle のライセンスを持ち込むDedicated Host
使用率が低いインスタンスがあるCompute Optimizer で適正化・世代を上げる
性能を落とさず安く新しい世代/Graviton
開発環境の費用を下げたい夜間・休日に止める(スケジュール)
使用量に大きな波があるサーバーレス(Lambda・Fargate)へ
止めたのに請求が減らないEBS ボリュームが残っている

シナリオ演習

夜間に 6 時間かかる集計バッチを毎日動かしている。途中で止まってもやり直せる。費用を最小にしたい。

補足

答え:スポットインスタンス(または AWS Batch とスポットの組み合わせ)で動かす。

「止まってもやり直せる」がスポットを指している。リザーブドや Savings Plans は常時稼働する部分に効くもので、1 日 6 時間のバッチには向かない。

シナリオ演習

本番の Web サーバーは 24 時間稼働で、今後 3 年は使い続けることが決まっている。ただし将来インスタンスファミリーを変える可能性がある。

補足

答え:Compute Savings Plans を 3 年で購入する。

標準リザーブドインスタンスはファミリーを固定するので、変える可能性があるという条件に合わない。Compute Savings Plans ならファミリーもリージョンも変えられる。

この章のまとめ

  1. 最も安い購入オプション
  2. スポットの中断前に出る通知
  3. Savings Plans が約束するもの
  4. リザーブドインスタンスが約束するもの
  5. Savings Plans で容量を確保できるか
  6. 容量を確保できる買い方

この章の根拠

AWS Certified Solutions Architect - Associate (SAA-C03) 試験ガイド

最終確認 2026-10-04 / 対応バージョン DEA 2026-05-04 改訂版