第 6 章 高パフォーマンスなアーキテクチャの設計(24%)

ストレージの選び方

この章で学ぶこと

  • ビジネス要件を満たすハイブリッドストレージソリューション
  • 適切なユースケースを伴うストレージサービス(S3、EFS、EBS)
  • ストレージの種類と、それぞれの特性(オブジェクト、ファイル、ブロック)

この章に出てくる用語

Amazon EBS(Elastic Block Store)
EC2 に取り付けて使うディスク。 インスタンスを止めてもデータは残り、別のインスタンスに付け替えられる。AZ の中にあるので、別の AZ へは直接移せない(スナップショットを経由する)。スナップショットは内部的に S3 へ保存され、増分で取られる。
Amazon EFS(Elastic File System)
複数の EC2 から同時にマウントできる共有ファイルシステム(NFS)。 容量をあらかじめ決める必要がなく、書いた分だけ自動で伸び縮みする。複数の AZ から使えるので、ASG で台数が増減しても同じファイルを共有できる。Linux 向けで、Windows(SMB)が要るときは FSx for Windows File Server を使う。

AWS のストレージは数が多いが、形は 3 つだ。どれを選ぶかは、アプリがデータをどう触るかで決まる。

図 6-1 ブロック・ファイル・オブジェクト
図 6-1 ブロック・ファイル・オブジェクト
ブロックファイルオブジェクト
代表Amazon EBSAmazon EFS/FSxAmazon S3
触り方ディスクとして OS に見える共有フォルダとして見えるAPI(HTTP)で出し入れする
途中の書き換えできるできるできない(まるごと置き換え)
何台から使えるか基本 1 台(同じ AZ)多数から同時にどこからでも
向く用途OS・データベース複数台で共有するファイルログ・画像・バックアップ・データレイク

試験では

「複数の EC2 から同じファイルを読み書きしたい」は EFS。EBS は原則 1 台にしか付かない(同じ AZ 内の Multi-Attach という例外はあるが、クラスター対応のアプリ向けで一般的な共有には使わない)。この取り違えが最も多い。

図 6-2 EBS のボリューム種別
図 6-2 EBS のボリューム種別
種別形性能向く用途
gp3SSD3,000 IOPS / 125MB/s が既定。容量と独立に増やせるふつうはこれ。汎用
gp2SSD容量に比例(3 IOPS/GiB)。バースト旧世代。gp3 のほうが安く速い
io1 / io2SSD最大 64,000 IOPS(io2 Block Express はさらに上)高い IOPS が要る DB
st1HDDスループット重視。ランダムに弱い大きなデータを順に読む(ログ処理)
sc1HDD最も遅く、最も安いほとんど読まない保管

試験では

HDD 系(st1・sc1)は起動ボリュームにできない。 SSD 系だけだ。また、「IOPS を上げたいが容量は増やしたくない」は gp3(容量と独立に設定できる)。gp2 では容量を増やさないと IOPS が上がらない。

補足

gp2 から gp3 への変更は停止せずにできる(ボリュームの変更)。コストの設問でも「gp2 を gp3 に替える」が答えになることが多い(第 11 章)。

もう 1 つ、EBS ではない直付けのディスクがある。インスタンスストアだ。

図 6-3 インスタンスストアと EBS
図 6-3 インスタンスストアと EBS
インスタンスストアEBS
場所ホストに物理的に付いているネットワーク越し
速さ最も速い速い(種別による)
停止・終了したら消える残る
付け替えできないできる
向く用途一時的なキャッシュ・スクラッチ領域OS・DB・残したいデータ
図 6-4 EFS と FSx の使い分け
図 6-4 EFS と FSx の使い分け
サービスプロトコル向く場面
Amazon EFSNFS(Linux)複数の Linux から共有。自動で伸び縮み
FSx for Windows File ServerSMB(Windows)Active Directory と統合した Windows の共有
FSx for LustreLustreHPC・機械学習。S3 と連携して高速に処理
FSx for NetApp ONTAPNFS / SMB / iSCSIオンプレの ONTAP をそのまま持ってくる
FSx for OpenZFSNFSZFS の機能(スナップショット等)が要るとき

試験では

「Windows の共有フォルダ」「AD と統合」と書かれていたら FSx for Windows File Server。EFS は NFS なので Windows の共有には使わない。「HPC」「機械学習の学習データを S3 から読む」は FSx for Lustre。

補足

EFS には保管クラスがあり、使われないファイルを自動で低頻度アクセス(IA)へ移すライフサイクルが設定できる。1 つの AZ だけに置く One Zone もあり、こちらは安いが AZ 障害に弱い。

S3 は容量の上限が無く、置くだけで冗長化される。それでも性能の設問は出る。大きなファイルの扱い方と、遠くからの転送だ。

図 6-5 S3 の性能を上げる 3 つの手
図 6-5 S3 の性能を上げる 3 つの手
やりたいこと使うもの押さえる数字
大きなファイルを速く確実に上げるマルチパートアップロード100MB 以上で推奨・5GB 以上では必須。1 オブジェクトの上限は 5TB
遠い国からの転送を速くするTransfer Accelerationエッジロケーション経由で送る
読み書きの並列度を上げるプレフィックスを分けるプレフィックスごとに 3,500 PUT / 5,500 GET(秒)
一桁ミリ秒で読みたいS3 Express One Zone1 つの AZ に置く代わりに非常に速い

補足

昔は「プレフィックスをランダムにして分散させる」という工夫が要ったが、現在は S3 が自動で分散するので、名前をわざと散らす必要はない。それでもプレフィックス単位で上限があることは変わらないので、極端に高い並列度が要るときは分ける。

「オンプレのファイルサーバーを AWS に寄せたい」「テープをやめたい」という要件には AWS Storage Gateway が出てくる。3 種類あり、役割が違う。

図 6-6 Storage Gateway の 3 種
図 6-6 Storage Gateway の 3 種
種類オンプレからの見え方AWS 側の置き場
ファイルゲートウェイNFS / SMB の共有フォルダS3(オブジェクトとして見える)
ボリュームゲートウェイiSCSI のディスクS3(スナップショットは EBS として復元できる)
テープゲートウェイ仮想テープライブラリ(VTL)S3 Glacier 系

試験では

「既存のバックアップソフトを変えずにテープをやめたい」はテープゲートウェイ。「オンプレのファイル共有を S3 に置きたい」はファイルゲートウェイ。単にデータを一度だけ移すだけなら Storage Gateway ではなくDataSync(第 10 章)や Snow ファミリーが答えになる。ここを混同しない。

図 6-7 要件の語からストレージを決める
図 6-7 要件の語からストレージを決める
問題文に出る語答えの方向
複数の EC2 から同時に読み書き(Linux)Amazon EFS
Windows の共有・Active DirectoryFSx for Windows File Server
HPC・機械学習・S3 のデータを高速にFSx for Lustre
データベースのディスク・高い IOPSEBS(io1 / io2、または gp3)
容量と独立に IOPS を上げたいgp3
大きなファイルを順に読む・安くst1(スループット最適化 HDD)
一時的で速い作業領域・消えてよいインスタンスストア
静的コンテンツ・ログ・バックアップ・データレイクAmazon S3
オンプレのファイル共有を S3 へStorage Gateway(ファイルゲートウェイ)

シナリオ演習

10 台の Linux EC2 が、同じディレクトリのファイルを同時に読み書きする必要がある。容量は使った分だけ払いたい。

補足

答え:Amazon EFS をマウントする。

EBS は原則 1 台にしか付かないので要件を満たさない。S3 はオブジェクトなので、ファイルの途中を書き換える使い方には向かない。

シナリオ演習

動画編集のワークステーションとして使う EC2 に、一時的な作業領域として最も速いディスクを付けたい。終了時に消えてよい。

補足

答え:インスタンスストアを使う。

ホストに物理的に付いているので最も速い。「終了時に消えてよい」と明記されているので、EBS を選ぶ理由が無い。

この章のまとめ

  1. 途中を書き換えられないストレージの形
  2. 複数の Linux EC2 から同時にマウントできるもの
  3. EBS は AZ をまたげるか
  4. ふつう選ぶ EBS の種別
  5. 容量を増やさずに IOPS を上げられる種別
  6. 起動ボリュームにできない種別

この章の根拠

AWS Certified Solutions Architect - Associate (SAA-C03) 試験ガイド

最終確認 2026-10-04 / 対応バージョン DEA 2026-05-04 改訂版